私は亡き父の農家を継いでいる次男です。
都会に出て行った長男に「相続分に従い、農地を半分渡すか、農地を売却して売却代金の半額を支払え」と主張されています。どうすればいいですか?
あなたが農家を継いでいるのであれば、今後も農業を続けていくためには農地を売却することはできないし、農地を細分化したら生産能力が落ちるので農地の半分を長男に渡すこともできないとお考えでしょう。
まずは、遺言書が残されているか確認してください。遺言書に農地はあなたに相続させるというような文言がある場合には、遺言書の内容が優先されて、あなたが農地を相続できます。
ただし、遺言書の内容が長男の遺留分(法定相続人が兄と弟の2人だけの場合、兄の遺留分は全財産の4分の1)を侵害している場合は、長男から遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。
令和元年7月1日より前の相続では、遺留分を侵害している場合、農地や不動産そのものを分割しなくてはなりませんでした。
しかし、令和元年7月1日以降に相続が開始された場合には、改正された相続法が適用となるため、遺留分侵害額請求を受けても不動産を直接分割する必要はありません。
遺留分相当額について金銭の支払いを行うことになります。
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遺言書がない場合は、兄弟で遺産分割協議を行います。
遺産分割協議を行う際は、法定相続分に沿って話し合いが行われますので、法定相続人が兄弟2人の場合は、原則として2分の1ずつとなります。
少しでも自らの相続分を増やすためには、ご自身の寄与分や相手の特別受益を主張するという方法があります。
また、相続財産の内容によっては、農地を長男に渡さずに自分が相続する代わりに、その半分の価値に相当する金銭をご自身の資産から支払うという代償分割を行うことも検討することも必要になるかもしれません。
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