遺産相続の流れ

遺産相続をするときに必要な手続きの中には、期限があるものが多くあります。
期限を過ぎると、その手続きができなくなったり、延滞税などを支払わなければならなくなったりする場合もありますので注意が必要です。

わからないことは専門家に相談しながら進めていくと安心です。以下で簡単な流れを確認しましょう。

遺産相続手続き全体の流れ

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相続手続きの一覧と対応期限

相続開始から7日以内に行う手続き

7日以内
1 死亡診断書の取得
入手元
病院
提出先
死亡地・本籍地・届出人の所在地の市役所・区役所・町村役場
費用
5000円程度(病院によって異なる)

ご家族が亡くなった場合、まず医師に死亡診断書または死体検案書の交付を請求してください。

死亡診断書と死体検案書は、いずれも人間の死亡を医学的・法律的に証明する書類です。医師は、生前に診療していた傷病に関連する死亡の場合は死亡診断書を、それ以外の場合には死体検案書を作成して、患者に交付する義務を負います。

死亡診断書または死体検案書は、死亡届を提出する際の添付書類とされています。スムーズに死亡届を提出するため、医師に対して早めに死亡診断書または死体検案書の交付を請求しましょう。

7日以内
2 死亡届の提出
入手元
死亡地・本籍地・届出人の所在地の市役所・区役所・町村役場
提出先
死亡地・本籍地・届出人の所在地の市役所・区役所・町村役場
費用
添付書類である死亡診断書等の取得に5000円程度(病院により異なる)

死亡届は、被相続人が亡くなった事実を知った日から7日以内に提出します(国外で亡くなった場合は、その事実を知った日から3か月以内)。

原則として、医師から交付を受けた死亡診断書または死体検案書の添付が必要です。

死亡届の提出後、被相続人の死亡を証明する書類である「住民票の除票」の交付を役所に申請しましょう。住民票の除票は、その後の相続手続きで必要になります。

なお法律上は、死亡を知ってから14日以内に住民票の抹消届を行うべきものとされています。しかし実際には、死亡届が受理されれば住民票は抹消されるので、特別の手続きは必要ありません。

7日以内
3 死体埋葬火葬許可証の取得
入手元
死亡地・本籍地・届出人の所在地の市役所・区役所・町村役場
提出先
葬儀業者

火葬場で火葬を行うためには火葬許可証が必要です。原則としては、死亡届を提出すると同時に火葬許可申請書を提出し火葬許可証を受領します(ただ、一部の市区町村では、死亡届を提出すれば火葬許可申請書の提出は不要な場合もありますので、ご確認ください)。

火葬後に、火葬場から埋葬許可証を受領します。埋葬許可証は、納骨の際に墓地や納骨堂で埋葬してもらう際に必要となりますので、それまで大切に保管しておきましょう。

相続開始から10日以内に行う手続き

10日以内
4 通夜・葬儀

親族・友人・関係者などに連絡を行い、通夜・葬儀を執り行います。

火葬を行う際には、死亡届を提出した際に交付される火葬許可証が必要です。死亡届の提出とは別に、火葬許可申請書の提出を要する場合もありますので、役所にご確認ください。火葬許可証は、葬儀会社を通じて火葬場に提出しましょう。

火葬後は、墓地や納骨堂への埋葬・納骨を行います。火葬場から交付される埋葬許可証が必要となりますので、埋葬・納骨まで大切に保管しておきましょう。

10日以内
5 厚生年金または共済年金の受給権者死亡届(報告書)の提出
提出先
年金事務所または街角の年金相談センター
費用
無料

被相続人が年金を受給していた場合、年金の受給権が消滅します。そのため、日本年金機構に対して「受給権者死亡届(報告書)」を提出しなければなりません。

受給権者死亡届(報告書)の提出先は、年金事務所または街角の年金相談センターです。厚生年金(共済年金)受給者の場合、死亡後10日以内の提出が必要となります。提出が遅れると、被相続人の死亡後も年金が振り込まれ続け、後で返す必要が生じる点にご注意ください。

なお、被相続人の個人番号(マイナンバー)が日本年金機構に収録されている場合、原則として受給権者死亡届(報告書)の提出を省略できます。

相続開始から14日以内に行う手続き

14日以内
6 国民年金の受給権者死亡届(報告書)の提出
提出先
年金事務所または街角の年金相談センター
費用
無料

被相続人が国民年金受給者の場合も、個人番号(マイナンバー)が日本年金機構に収録されている場合を除き、日本年金機構に対する受給権者死亡届(報告書)の提出が必要です。

受給権者死亡届(報告書)の提出先は、年金事務所または街角の年金相談センターです。国民年金受給者の場合、厚生年金受給者とは異なり、提出期限は死亡後14日以内となります。

14日以内
7 国民健康保険証の返却
入手元
被相続人(故人)の住所の市区町村役場
提出先
加入先の市区町村役場や国民健康保険組合
費用
無料

被相続人が国民健康保険に加入していた場合、死亡によって資格喪失となります。原則として、加入先の市区町村や国民健康保険組合に対して、死亡後14日以内に国民健康保険資格喪失届を提出しなければなりません。ただし、市区町村の国民健康保険に加入している場合、死亡届を提出すれば、国民健康保険資格喪失届の提出は不要となることもあります。

資格喪失後の国民健康保険証は、加入先の市区町村や国民健康保険組合に返却します。なお、市区町村や国民健康保険組合によっては、返却前に葬祭費などの受給を申請できる場合がありますので、窓口担当者にご確認ください。

14日以内
8 介護保険の資格喪失届の提出
入手元
被相続人(故人)の住所の市区町村役場
提出先
被相続人(故人)の住所の市区町村役場
費用
無料

被相続人が介護保険に加入していた場合、死亡によって資格喪失となります。原則として、加入先の市区町村に対して、死亡後14日以内に介護保険資格喪失届を提出しなければなりません。ただし市区町村によっては、死亡届を提出すれば、介護保険資格喪失届の提出は不要となることもあります。

資格喪失後の介護保険証は、加入先の市区町村に返却します。

14日以内
9 世帯主変更届の提出
入手元
被相続人(故人)の住所の市区町村役場
提出先
被相続人(故人)の住所の市区町村役場
費用
無料

被相続人が世帯主であった場合、同一世帯の方または代理人が市区町村役場へ世帯主変更届を提出しなければなりません。世帯主変更届の提出期限は、原則として被相続人の死亡後14日以内です。

変更後の世帯主となる方は、15歳以上であれば誰でも構いません。基本的には、世帯の生計を主に維持している方を世帯主とすることが多いです。

なお、被相続人と同一世帯に属する方がいない場合には、世帯主変更届の提出は必要ありません。

14日以内 | 目安
10 金融機関への連絡

被相続人名義の銀行口座は、死亡をもって凍結されます。その後相続手続きを経て、残高が相続人へ分配された後に解約されます(凍結中でも、各相続人は、残高の3分の1と自身の法定相続分を乗じた(掛け算をした)金額かつ1つの金融機関あたり150万円以下の範囲内に限り引き出しをすることができます(民法第909条の2))。

また、被相続人名義の証券口座についても、死亡をもって凍結されます。その後、相続手続きを通じて相続人に対する名義変更や預かり金の払い戻しが行われ、株式等の売却や株主優待・配当金の受け取りが可能となります。

実際の分配は遺言書または遺産分割に従いますが、口座残高の不正利用や予期せぬ引き落としなどを防ぐため、被相続人死亡の金融機関に対する連絡は早めに行いましょう。

14日以内 | 目安
11 自動車や公共料金などの名義変更や解約手続き

電気・ガス・水道・電話加入権などのライフラインは、被相続人の死亡後、速やかに家族などへ契約名義を変更する必要があります。被相続人名義のままにしておくと、利用料金の引き落とし口座が凍結され、ライフラインがストップしてしまう事態になりかねないのでご注意ください。

また、自動車やゴルフ会員権など、被相続人が登録を要する財産を所有していた場合には、相続人等への名義変更が必要となります。こちらは遺産分割が完了してからで構いませんが、早めに手続きを行っておきましょう。

相続開始から1か月以内に行う手続き

1か月以内 | 目安
12 相続人の調査および確定

相続人が話し合いで遺産分割の方法を決める場合(これを「遺産分割協議」といいます)には、相続人全員が参加することが必要なため、協議を行う前提として相続人調査を行わなければなりません。

相続人調査の際は、通常、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本、改正原戸籍謄本などを取得して、被相続人の法定相続人を確認します。

戸籍の収集は時間も手間もかかり、必要な戸籍すべてを集めるのは難しいこともあるため、専門家に相談すると良いでしょう。

参考:相続人調査とは

1か月以内 | 目安
13 遺言書の調査や検認

遺産相続手続きを進めるにあたり、遺言書の有無を確認することが必要です。遺産相続では、遺言書があるかどうかにより、その後の手続きの進め方が変わってくるからです。

遺言には、自筆証書遺言・公正証書遺言などがあります。公正証書遺言または法務局(遺言保管所)で保管された自筆証書遺言以外の遺言書については、勝手に開封せず、家庭裁判所において遺言書の「検認」手続きを受けることが必要です。「検認」の目的は、遺言書の現状を明確にし、遺言書の変造や隠匿などを防ぐことにあります。

参考:遺言書は勝手に開けてはならない!? 遺言の検認を弁護士に依頼するメリット

1か月以内 | 目安
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14 相続財産の調査

遺産分割協議を行うにあたり、どのような相続財産があるのか、相続財産の全体像をつかむことが必要です。そのために、被相続人の有していた財産(不動産、現金、預貯金、有価証券類、借金など)をプラス財産・マイナス財産についてすべて調査し、確定する必要があります。

相続財産に当たるかどうかは、一般的な感覚とは異なる可能性があるので、注意しましょう。

参考:財産調査は何から手をつければよいの?亡くなった方の財産を調べる方法を弁護士が解説!

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相続開始から3か月以内に行う手続き

3か月以内 | 目安
15 遺産分割協議の開始

相続人と相続財産が確定したら、遺産分割協議を開始します。

遺産分割協議では、相続人全員で遺産分割方法を話し合わなければなりません。相続人が遠方に居住しているような場合など実際に集まって協議することが難しいときには、メール・手紙などの方法を使って協議することもできます。

遺産分割協議が整った場合には、遺産分割協議書を作成します。この遺産分割協議書には、相続人各自が自ら署名押印しなければなりません。遺産分割協議が整わない場合には、家庭裁判所における遺産分割調停や審判により、遺産分割方法を決定することになります。

参考:遺産分割協議とは

3か月以内
16 相続放棄または限定承認の申述

相続が開始した場合、相続人として取りうる選択肢としては、以下の3つの方法があります。

①単純承認

相続人が、被相続人の財産すべて(プラスもマイナスも含め)を受け継ぐ

②相続放棄

相続人が、被相続人の権利義務を一切受け継がない

③限定承認

被相続人の債務(借金などのマイナス財産)をすべて弁済したうえでプラス財産が残った場合にだけ相続し、相続人が、相続によって得た財産の限度で被相続人の債務負担を受け継ぐ

相続人が、被相続人のマイナス財産を相続したくない場合には、相続放棄または限定承認をすることになります。これらの場合には、家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。

申述期限は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内と定められています。

一度相続放棄や限定承認をすると、たとえ3か月以内であっても撤回することはできませんので、慎重に検討しましょう。

参考:相続放棄と限定承認

3か月以内
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17 相続放棄または限定承認の熟慮期間伸長の申し立て

被相続人が借金などの債務を負っていた場合、マイナスの遺産を相続することを防ぐため、相続放棄または限定承認を検討すべきです。

相続放棄・限定承認は、自己のために相続の開始を知った時、つまり、被相続人が亡くなったことと、自身が相続人となったことを知った時から3か月以内に行わなければなりません(民法第915条第1項)。しかし、遺産の調査に時間がかかり、相続放棄や限定承認をすべきかどうかを期間内に判断するのが難しいケースもあります。

もし遺産の調査等に時間がかかりそうであれば、家庭裁判所に相続放棄・限定承認の期間の伸長を申し立てましょう。期間の伸長が認められれば、時間をかけて適切に判断できます。

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相続開始から4か月以内に行う手続き

4か月以内
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18 被相続人の所得の準確定申告

被相続人の生前の所得についての確定申告については、被相続人に代わって相続人が行います。この場合の確定申告を「準確定申告」といいます。申告期限は、相続開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。申告だけではなく納付義務が生じることもあるので忘れないようにしましょう。

準確定申告は、必要な方とそうでない方がいますので、確認して漏れのないように気をつけましょう。

参考:準確定申告とは

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相続開始から10か月以内に行う手続き

10か月以内
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19 遺産分割協議書の作成

遺言書によって分け方が指定されていない遺産については、相続人および包括受遺者全員による遺産分割によって取得者を決定します。

遺産分割について合意が成立したら、遺産分割協議書を作成・締結しましょう。遺産分割協議書は、その後の相続手続き(不動産の名義変更や相続税申告)などで必要になります。

遺産分割に法律上の期限はありませんが、可能であれば被相続人の死亡後10か月以内に遺産分割協議書を作成することが望ましいです。相続税申告の期限に間に合うように遺産分割協議書を作成すれば、申告の二度手間を回避できます。

参考:遺産分割協議書の作成

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20 相続税の申告や納付

相続財産が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続税の申告・納付が必要になります。

相続税の申告・納付期限は、相続の開始を知ったときから10か月以内です。申告期限に遅れると、本税とは別に加算税・延滞税が課されたり、小規模宅地等の特例などの優遇措置が利用できなくなったりするのでご注意ください。

なお、期限までに遺産分割が完了しない場合は、暫定的に法定相続分に従って相続税の申告・納付を行います。この場合、遺産分割の完了後、申告期限から5年以内に更正の請求または修正申告を行い、納付済みの税額と実際の税額の差額を精算しましょう。

参考:相続税の申告・納付

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相続開始から1年以内に行う手続き

1年以内
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21 遺留分侵害額請求の手続き

兄弟姉妹以外の相続人には、相続財産および一定期間内の生前贈与の総額に対して、被相続人との続柄に応じた遺留分割合を掛けて計算される「遺留分」が保障されています(民法第1042条第1項)。

遺言や生前贈与の結果、遺留分に満たない財産しか取得できなかった場合には、他の相続人や受遺者に対して遺留分侵害額請求(民法第1046条第1項)を行うことができます。遺留分に対する不足額につき、金銭の支払いを受けられます。

遺留分侵害額請求権は、相続の開始および遺留分を侵害する遺贈・贈与を知ったときから1年間で時効消滅してしまいます。そのため、早い段階で遺留分侵害額請求の準備に着手することが大切です。

参考:遺留分侵害額請求権とは? 請求方法と手続きの進め方を弁護士が解説

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相続開始から2年以内に行う手続き

2年以内
22 葬祭費や埋葬費の申請

被相続人の埋葬を行った場合、被相続人の加入している健康保険の種類に応じて、葬祭費または埋葬料の支給を申請できます。

被相続人が国民健康保険の加入者(自営業者など)であれば葬祭費、全国健康保険協会(協会けんぽ)などの健康保険の加入者(会社員など)であれば埋葬料の支給対象です。葬祭費は自治体によって異なりますが約3~7万円、埋葬料は一律5万円と、金額に若干の違いがあります。

葬祭費・埋葬料の申請期限は、葬祭(埋葬)を行った日の翌日から2年間です。健康保険証を返却する際に併せて申請するのがスムーズですが、後で申請する場合には期限に遅れないようにご注意ください。

2年以内
23 高額医療費の申請

月ごとの医療費が所得に応じた上限額を超えた場合、超過分は高額医療費として、健康保険に対して払い戻しを請求できます。

被相続人が高額医療費を負担していた場合、被相続人が有した還付請求権は相続の対象となります。還付請求の期限は、診療を受けた月の翌月初日から2年以内です。高額医療費は大きな金額になる場合もありますので、相続人の方は健康保険の窓口へ忘れずに還付請求を行ってください。

ただし、高額医療費の還付請求を行った相続人は、原則として相続放棄ができなくなる点に注意が必要です。還付請求を行う際には、必ず事前に相続放棄の要否を検討しましょう。

相続開始から3年以内に行う手続き

3年以内
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24 不動産の名義変更(相続登記)の手続き

不動産を相続した方は、早めに相続登記手続きを行いましょう。

相続登記を怠っていると、たとえば他の相続人が第三者へ不動産の共有持分を勝手に譲渡し、当該第三者が先に登記を備えた場合、所有権の一部を失ってしまうおそれがあります。相続によって得た不動産の所有権を確保するには、遺産分割が終わったら早めに相続登記手続きを行うことが大切です。

なお、現行法上相続登記は義務付けられていませんが、2024年4月1日より相続登記が義務化されます。

相続登記の義務化後は、相続の開始があったことおよび不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記手続きを行わなければなりません。

参考:相続登記(不動産の名義変更)

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3年以内
25 生命保険の請求

被相続人が生命保険に加入していた場合、死亡保険金の請求を忘れずに行いましょう。

生命保険の請求期間は、被相続人の死亡日から3年間です。死亡保険金の受取人の方は、生命保険会社に連絡を取ったうえで、早めに死亡保険金請求の手続きを行ってください。

なお生命保険の死亡保険金は、受取人固有の財産であるため、遺産分割の対象となりません。また、相続分を計算する際の特別受益にも、原則として該当しません。

ただし、非課税限度額(500万円×法定相続人の数)を超える部分については、相続税の課税対象となる点にご注意ください。

相続開始から5年以内に行う手続き

5年以内
26 遺族年金の受給申請

被相続人によって生計を維持されていた家族は、遺族基礎年金および遺族厚生年金を受け取れる場合があります。いずれも年金事務所または街角の年金相談センターで請求できます。

遺族基礎年金の受給資格者は、国民年金の受給要件を満たす被相続人によって生計を維持されていた「子どものある配偶者」または「子ども」です。「子ども」とは、18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害等級1級もしくは2級の状態にある方を指します。

遺族厚生年金の受給資格者は、厚生年金保険の受給要件を満たす被相続人によって生計を維持されていた遺族です。

なお、遺族基礎年金・遺族厚生年金の受給権は、被相続人の死亡後5年が経過すると時効消滅してしまいます。やむを得ない事情があれば時効完成後の請求が認められることもありますが、期限に間に合うように請求を行いましょう。

5年以内
27 未支給年金の受給申請

被相続人が亡くなった時点でまだ受け取っていない年金や、亡くなった日の後に振り込まれた年金のうち亡くなった月までの年金は、被相続人と生計を同じくしていた遺族が受け取れます。

未支給年金の受給順位は、配偶者→子ども→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹→その他の3親等内の親族となっています。受給権者の方は、年金事務所または街角の年金相談センターで未支給年金を請求できます。

なお、未支給年金の請求期限は、最後の年金支払日の翌月初日から5年以内です。手続き自体を忘れてしまう方も多いので、早めに未支給年金の請求を行いましょう。

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