被相続人から各相続人が相続や遺贈などにより取得した財産の価額の合計額が基礎控除額を超える場合は相続税の課税対象となり、申告が必要となります。
課税遺産総額がゼロ以下となる場合には、相続税の申告をする必要はありません。ただし、「小規模宅地等の特例」や「相続税の配偶者控除」などを利用したことにより、ゼロ以下となった場合は申告する必要がありますので、注意が必要です。
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。
その後の申告の状況(期限後に申告した、税務署からの通知を貰って申告した、申告しなかった)により、一定額の加算税を支払わなければなりません。また、延滞税も同時に支払うことになります。
まだ分割されていない財産を、民法で規定する法定相続分(または包括遺贈の割合)に従って取得したものとして課税価格を計算し、その税額分を申告します。その後遺産分割が終了し、税額の増加・減少があった場合には修正申告・更正の請求を行い、税額を訂正します。
税額が少なかった場合は、修正申告書を提出して不足額を納税しなければなりません。この場合、不足税額のほかに過少申告加算税や延滞税が課せられることもあります。納税者が修正申告書を提出しないと、税務署長が更正を行います。
税額が多かった場合は、法定申告期限から5年以内に限り、課税価格や税額を減額するための更正の請求をすることができます。次のような理由などにより税額を算出し直した結果、税額が減少する場合には、法定申告期限から5年以上が経過していたとしても 更正の請求ができます。
納付者が税務署の調査が入る前に修正の申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。しかし、税務署の調査後に修正申告があった場合には、過少申告として、増加の本税に対し、10%の税率で追加課税がされます。申告もれが一定額を超える場合には、その超える部分について15%の税率の追加課税がされます。
明らかに相続税の申告が必要な場合には、税務署から申告書が送付されてくるようです。申告の必要があるかどうか微妙な場合は「お尋ね」が送付されたり、「お尋ね」と申告書が送付されたりすることがあるようです。
相続税申告書を提出するにあたっては、様々な書類を作成する必要がありますが、主要な明細書は下記のとおりとなります。特に、第11表、第13表は、財産と債務の一覧表となり、第1表は各相続人が負担する税額が記載される表となるため、重要性が高い表と言えます。また、明細書を作成する順番の一例として、下記並び順で作成する場合もあります。
相続税の申告書以外の必要書類は申告書の内容によって異なってきますので、詳しくは相続税申告に必要な書類をご覧ください。
遺留分侵害額請求とは、遺言等によっても侵すことのできない相続人の権利のことを言います。
相続税申告をして納税すべき相続人が、遺留分侵害額請求をされても、請求者が取得すべき財産(または請求者に支払うべき金額)が確定しないうちは、これを無視して相続税申告をします。その後、遺留分侵害額請求により請求者が取得する財産などが確定したときは、請求された側は、更正の請求をして相続税還付を受けるための手続きをすることができます。反対に請求者側は、相続税の申告(ないし修正申告)をすることになります。もっとも当事者間の合意で、相続税を請求された側が負担する前提での遺留分額の合意ができれば、相続税に関する上記の手続きは、不要となります。
贈与税には相続税の補完税という役割があり、相続前の贈与で相続開始時の財産を減らして相続税の課税回避が起こることを防ぐために贈与税があるとされています。このように、贈与と相続は密接に関わっているため、相続に備えて生前贈与を活用するのであれば、何が贈与税の計算の課税対象になるのかなど、専門的な知識や経験が必要不可欠です。
暦年課税制度とは、1年ごとの取得額に応じて、誰にでも適用される、贈与税の基本的な課税制度です。
相続時精算課税制度とは、平成15年から新設された制度で、この制度を使って贈与された財産が、贈与者の相続のときに相続財産に加算され、納付した贈与税について精算される制度です。
区分 | 暦年課税 | 相続時精算課税(相続税・贈与税の一体化措置) |
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贈与者・受贈者 | 親族間のほか、第三者からの贈与を含む | 60歳以上の者から20歳以上の推定相続人および孫への贈与 |
選択 | 不要 | 必要(贈与者ごと、受贈者ごとに選択) → 一度選択すれば、相続時まで継続適用 |
課税時期 | 贈与時(その時点の時価で課税) | 同左 |
控除 | 基礎控除(毎年):110万円 | 特別控除(限度額まで複数回使用可):2,500万円 |
税率 | 10%~55%の8段階 | 一律20% |
相続時 | - | 贈与財産を贈与時の時価で相続財産に合算(相続税額を超えて納付した贈与税は還付) |
相続人が自身が相続した財産の額に応じ、基本的に現金で納付します。
相続人が自身で税金の計算をして納付書を作成します。税理士に相続税の申告を依頼している場合には税理士が作成してくれます。
申告期限と同じ、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に納付します。
銀行の場合は、基本的にすべての金融機関で取り扱いが可能となっています。
税務署の場合は、窓口で支払うことが出来ますが、相続税申告書を提出する税務署でなければ支払うことが出来ないので注意が必要です。
コンビニの場合は、バーコード付の納付書で納付します。事前に納付書を税務署に持っていくとバーコード付納付書を発行してもらえます。ただし、納付額が30万円以下でなければ利用できません。
クレジットカードでの支払いもできて、分割払いやリボ払いも可能です。クレジットカードのポイントがためられる、という利点もありますが、1万円の支払いごとに82円の手数料がかかります。