遺産相続コラム

孫に遺産を相続させたい! トラブルを回避して円満に財産を受け渡す方法とは?

2020年02月12日
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孫に遺産を相続させたい! トラブルを回避して円満に財産を受け渡す方法とは?

将来の相続を見据えたとき「孫に財産を残したい」と考える方が多数いらっしゃいます。しかし孫は通常「相続人」にならないので、何の対策もしなければ孫へ財産を残すことは不可能です。

孫に遺産を受け継がせるには遺言書作成や生前贈与などによる対策が必要です。

今回は孫に遺産相続させる方法について、遺言書の書き方や相続人間でのトラブル回避方法も交えて弁護士が解説します。

1、孫は相続できるのか

近年、孫に財産を残したいと希望して遺言や生前贈与をしたり養子縁組をしたりする方が増えています。少子化により孫の人数が減って祖父や祖母と一人ひとりの孫との関わりが強くなったこと、長生きする方が増えて孫と交流する機会が増えたこと、資産を持っている高齢者が多いことなどが影響していると考えられます。

ところで、孫には相続権が認められるのでしょうか?
実は、孫は基本的に法律の定める「法定相続人」にあたりません。
孫が相続をするのは、子が先に亡くなっているなど、限られた場合のみです。子が生きているのであれば、孫は相続権を取得しません。なお、子に代わって孫が相続することを「代襲相続」といいます。
孫のいる方でも何もしなかったら遺産は配偶者と子または親が相続します。孫は基本的に遺産を相続できないことを覚えておきましょう。

2、孫へ遺産相続させる方法

では、孫に遺産相続させるにはどのような方法をとれば良いのでしょうか?

  1. (1)遺言書を作成する

    孫などの相続権のない人に遺産を引き継がせるには「遺言書の作成」が有効な手段となります。遺言書を作成すると、相続人以外の誰にでも財産を残せます。遺言書を作成すれば、亡くなられた方の意思に従って不動産や預貯金などの特定の財産を孫に譲り渡すこともできますし、「遺産の〇割を孫に与える」といったように割合で定めて譲り渡すことも可能です。

  2. (2)養子縁組する

    子がいる場合には子が相続人となります。子には実子だけでなく「養子」も含まれるので、孫と養子縁組していたら孫が「子」として相続権を取得します。たとえば、配偶者がおらず、子が二人、孫が一人のケースで孫を養子にしていたら、二人の子と養子となった孫がそれぞれ3分の1ずつ財産を取得します。

  3. (3)代襲相続のケース

    さきほど述べたとおり、子が先に亡くなっており、子に代わって孫が相続することを代襲相続といいます。
    代襲相続は、特に手続をとることなく自然に発生しますので、不幸にも親より先に子が亡くなっている場合には、当然に孫が相続人になります。

    ●代襲相続における相続割合
    代襲相続が発生したとき、孫は「本来子に認められるはずだった相続割合をそのまま取得する」こととなります。

    たとえば子が二人いて長男が親より先に亡くなり、長男には二人の子(親にとっての孫)がいたとします。二人の孫は長男の法定相続分をそのまま引き継ぎます。たとえば、長男の相続割合が4分の1であれば、孫が二人いるのでこの4分の1をさらに2分の1にして、それぞれの孫が8分の1ずつの相続権を取得します。

3、他にもある! 孫へ財産を受け渡す方法

遺言や養子縁組以外にも孫に財産を受け渡す方法があります。

  1. (1)生前贈与として贈与する

    代表的な手法が「生前贈与」です。生前贈与とは、生きている間に財産を他の人に贈与する契約です。生前贈与をしたらそのときからその財産は贈与を受けた人(以下「受贈者」ともいいます。)のものになるので、確実に贈与者から受贈者へ財産を引き継がせることができます。ただし、生前贈与をすると「贈与税」がかかる可能性があるので要注意です。孫に生前贈与するときには「贈与税の控除や特例」を上手に使いましょう。

    贈与税には「1年に110万円まで」の基礎控除が認められます。そこで1年に110万円以内の贈与であれば贈与税がかかりません。この非課税枠を利用して毎年110万円以下の贈与を繰り返す方法を「暦年贈与(れきねんぞうよ)」といいます。

    また、「相続時精算課税制度」も利用できます。この制度を適用すると、孫に最大2500万円分まで非課税贈与できます。ただし非課税となった部分については相続時に相続財産に加算され、まとめて相続税が課税されます。なお、2500万円を超える部分には一律で20%の贈与税が発生します。

    参考:生前贈与とは

  2. (2)教育資金として贈与する

    次に「教育資金一括贈与制度」を利用する方法もあります。これも贈与税に関する特例の一種で、親や祖父母が子や孫に教育資金を贈与するとき、一定金額までが非課税となるものです。

    孫名義で信託銀行に口座を作り、資金を一括で振り込んで贈与したら最大1500万円まで非課税で贈与できます。学校だけではなく塾や習い事の費用であってもかまいません(ただしその場合500万円が限度)。デメリットを挙げるとすれば、贈与を受ける孫が出金の際にいちいち領収証を提示しなければならないなど手続きが煩雑な点でしょう。

    これと似た制度に「結婚・子育て資金贈与」の制度もあります。これを利用すると最大1000万円までを結婚・子育て資金として孫に非課税で贈与できます(ただし結婚資金については300万円が限度)。

  3. (3)生命保険の受取人に指定する

    孫に財産を残すために利用できる、生前贈与以外の方法もあります。生命保険金を利用するのです。孫を生命保険の受取人に指定しておけば、死亡したときに孫にまとまったお金を残せます。

    生命保険金は、法律上の「相続財産」ではないので遺産分割の対象になりませんが、相続税の課税対象になります。ただし、相続人が受取人である場合には、【法定相続人の数×500万円】まで、相続税控除が認められます。したがって、孫が代襲相続により法定相続人となる場合には、この控除を受けられます。

    このように、生命保険を利用すると、孫に財産を受け継がせられ、相続税はかかりますが、控除を受けられれば、相続税の負担も抑えられます。

    参考:相続税対策|様々な控除を利用する

4、孫へ遺産を相続させるにあたり注意したいポイント

孫へ遺産を相続させると、以下のような問題が発生しやすいので注意が必要です。

  1. (1)他の相続人とのトラブル

    まず他の相続人とトラブルになりやすい点が問題です。本来相続人ではない孫に対して多くの遺産を与えすぎると、他の相続人の遺留分(最低保障分)を侵害し、相続人である配偶者や子との関係が悪化する可能性があります。孫を養子にしたケースなどでも不公平を感じた子との間で遺産分割協議が難航する可能性があります。

  2. (2)相続税がより多くなる可能性がある

    遺言や養子縁組の方法で孫に財産を受け継がせると、相続税が2割増しになります。孫に遺産を受け継がせる際には、相続税の2割加算についても理解した上で、ある程度の税額シミュレーションを行ってから実行した方が良いでしょう。
    なお、子が先に亡くなっていて孫が代襲相続するケースでは2割増しはなく、通常の計算方法となります。

  3. (3)トラブルを回避するため、祖父母が生前確認しておきたいこと

    孫に財産を引き継がせた場合に発生するトラブルを防止するには、以下のような対処をしましょう。

    ●遺留分の確認
    孫へ多額の財産を受け継がせたことによって他の相続人の遺留分を侵害するとトラブルにつながります。なるべく子などの他の相続人の遺留分を侵害しない範囲で遺贈や生前贈与を行いましょう。

    ●他の相続人の意向確認
    孫を養子にするときには、孫の親以外の子(つまり親の兄弟姉妹)たちの意向も確認しておくべきです。何も告げずにいきなり長男の子(孫)などを養子にすると、他の兄弟姉妹が気分を害して将来のトラブルにつながります。

    ●贈与税の確認
    孫に生前贈与するときには、くれぐれも贈与税に注意が必要です。確かに贈与税にはいろいろな控除や特例が設けられていますが、利用するにはそれぞれ定められた要件や手続きがあります。税理士などの専門家に相談しましょう。

    ●相続税の確認
    相続税についてもある程度のシミュレーションが必要です。孫と養子縁組をしたら法定相続人が増えるので相続税についての基礎控除が増額されますが、先ほど述べたとおり、孫の相続税は2割加算になります。また生前贈与をしたらその分相続税を減らせますが、生前贈与後3年以内に死亡したら贈与税ではなく相続税がかかってきます。こういった税制についても知識を持って孫への遺産相続を考えましょう。

5、孫へ相続させたいなら、弁護士に相談を

孫に遺産を相続させたいときには、ひとりで対応するより相続に詳しい弁護士に相談しましょう。

  1. (1)祖父母が生前準備しておくべきこと

    孫に遺産相続させたいとき、もっとも手っ取り早く確実なのは「遺言書作成」です。まずは孫に遺産を与える内容の遺言書を作成しましょう。

    遺言書にはいくつか種類(方式)がありますが、もっともオススメの方法は「公正証書遺言」です。公証人に遺言書を作成してもらったら、無効になりにくく紛失のおそれなどもないので安心だからです。まずは孫にどの財産を残すかを決めて、公証役場に申し込んで公正証書遺言を作成しておきましょう。

  2. (2)弁護士はどんなサポートをしてくれるの?

    遺言書を作成する際には、他の相続人の「遺留分」に注意が必要です。遺留分を侵害すると他の相続人からその侵害額についての請求がされてしまうので、遺留分を侵害しないように計算して遺言書を作成すべきです。

    ただ、一般の方では遺留分がどのくらいになるのか正確に分からないこともあるでしょう。また、遺言書を作成する手続きも少々複雑で、ハードルが高いと感じる方もいらっしゃいます。かといって自己判断で自筆証書遺言を作成し、要式を満たさず無効になったり、紛失、破棄隠匿されたりしては意味がありません。

    弁護士であれば正確に遺留分を計算して将来のトラブルを見据えた上で対策をとることができます。公証役場での遺言書作成手続きの段取りを整えて速やかに手続きを進めることも可能です。
    トラブルを防ぎながら確実に孫に遺産を引き継がせるには弁護士によるサポートが必要です。

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6、まとめ

孫には本来相続権がないので、遺産を引き継がせたければ早めに対策しておくべきです。当事務所では遺産相続へのサポート業務に積極的に取り組んでいます。

「孫に財産を残すために遺言書を作成したい」、「どのように孫への生前贈与を進めていいかわからない」、「孫との養子縁組の手続きは?」と、疑問や不安をお持ちのようでしたら、どうぞお気軽にベリーベスト法律事務所の弁護士までご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒 106-0032 東京都 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話] 03-6234-1585
[ご相談窓口] 0120-666-694

※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。

URL
https://www.vbest.jp

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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