相続税を計算する過程で控除できる事項のことを税額控除といい、全部で6つあります。相続税の税額控除とはどういうものなのかを説明していきましょう。
こちらは贈与税の計算における控除ですが、贈与税には年間110万円という基礎控除があります。つまり、毎年、毎年、110万円以内の贈与を行えば、贈与税を払わずに贈与をすることができます。
配偶者の取得した相続財産が1億6,000万円である場合、1億6,000万円まで相続税の対象外となります。この控除制度のことを配偶者控除または配偶者の税額軽減といいます。
相続または遺贈によって相続財産を取得した者が、20歳未満の法定相続人である場合は、未成年控除の適用を受けることができます。相続放棄をした相続人も未成年控除の対象になります。
次に、住所や国籍に関する一定の条件も満たさなければなりません。相続財産を取得した際、その者の住所が日本国内にあれば、未成年控除を受けられます。また日本国籍の者で、相続が発生する前の5年以内、日本国内に住所がある場合も同様です。
未成年控除の額は未成年者が満20歳になるまでの年数×6万円です。年数に1年未満の端数がある場合は、1年として計算します。
障害者控除の対象となる者は、相続財産を取得したときにおいて85歳未満の障害者で、日本国内に住所があった人です。相続放棄をした相続人でも、未成年控除の場合と同じで障害者控除の対象となります。
障害者控除の控除額は、その者が一般障害者か特別障害者によって違います。一般障害者とは比較的軽度の障害を持つ者で、特別障害者とは重度の障害を持つ者です。そのため特別障害者のほうが一般障害者よりも控除額が大きくなっています。
控除額は、障害者が満85歳に達するまでの年数1年につき、一般障害者の場合は10万円、特別障害者の場合は20万円です。年数に1年未満の端数がある場合は、未成年控除と同様に1年として計算します。
二度目の相続発生の際、一度目の相続時に支払った相続税のうち一定額を控除できる制度のことを相次相続控除といいます。相続税の計算時に相次相続控除の適用を受けるためには、次の条件を満たさなければなりません。
①二度目の相続の被相続人が、一度目の相続の相続人であり、相続によって財産を取得し相続税を支払ったこと、②一度目の相続発生から二度目の相続発生まで10年以内であることです。
相続により財産を取得しても相続税が発生しない場合は、適用対象外となります。
また、10年を超えてしまうと相次相続控除は適用されません。相次相続控除の適用を受ける者は、二度目の相続の相続人です。相続放棄をした者は、法律上相続人ではないという扱いを受けます。
相続人が被相続人から贈与を受けて贈与税が発生した場合、贈与税を支払います。
その後、相続が発生して、その贈与財産を相続税の対象として税額計算する際、支払った贈与税額を控除することが可能です。この控除のことを贈与税額控除と言います。
外国に財産を保有している者が亡くなった場合、その国で相続税に対応する税金を支払わなければならない場合があります。また日本に居住している者は、原則外国の相続財産も日本の相続税の課税対象となり、相続税を支払わなければなりません。
このような場合、外国と日本の双方で課税されてしまうことになるのです。そのため外国で相続税に対応する税金を支払った場合、その額を日本の相続税を支払う際に控除することができます。この税額控除制度が外国税額控除です。