遺言とは、主に自己の財産(相続財産)について、自分の最終意思を遺すものです。遺言の方式は民法で厳格に定められており、その方式に従って作成しなければ遺言が無効になってしまうため注意が必要です。一般的には、「普通方式」と呼ばれる自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言のいずれかが用いられます。
被相続人の死後に遺言が発見された場合は、即座に開封することはせず、家庭裁判所に検認の申し立てを行うことが必要です。その後、相続人もしくは遺言執行者が遺言の内容を実行することになります。遺言書の内容が将来的に紛争を引き起こす可能性がある場合は、あらかじめ遺言で弁護士を遺言執行者に指名するなどの対策をしておくとよいでしょう。
遺言を書くときは、死後の財産の帰属先などについて方向性を定めてひな形を作成し、細かい調整を重ねます。後日トラブルが発生することを避けるため、遺言書は公正証書遺言にしておくとよいでしょう。
公正証書遺言を作成する際には、まず事案に応じて必要な書類をそろえます。次に、公証人と遺言書の内容や公正証書を作成する日程について事前協議を行いますが、作成にあたり証人が2人必要になりますので、誰にするか決めておきましょう。当日は公証役場で証人の立会いの下で公証人が内容の読み聞かせを行い、内容に間違いがなければ遺言者と証人がそれぞれ署名・押印をします。その後、公証人が印影などの確認をして公証文言を付記し、署名押印をして終了となります。
公正証書遺言の場合は、原本が公証役場に保管されていますので、相続人にその公証役場の場所を伝えておけば十分でしょう。自筆証書遺言の場合は、破棄や改ざんの心配がないよう、法務局に保管を依頼したり、遺言者自身で弁護士などの第三者に保管を依頼されることをおすすめします。
公正証書遺言または法務局(遺言保管所)で保管された自筆証書遺言以外の遺言については、遺言者が亡くなった後、家庭裁判所で検認の申し立てを行うことが必要です。遺言書が2通以上見つかった場合は、原則として一番新しい日付のものが有効となります。検認を受けずに遺言を執行したり、家庭裁判所外で遺言書を開封したりした場合、5万円以下の科料に処せられる可能性がありますので十分注意するようにしましょう。
遺言の効力発生後、遺言の内容を執行する際には必要に応じて「遺言執行者」を指定することができます。遺言執行者は、必ずしも定めなければならないものではありません。しかし、子の認知や推定相続人の廃除・取消し等、遺言執行者がいなければ執行することが出来ない手続きもあるため、指定しておいたほうがよいでしょう。
遺言の内容を実行する際には、遺言執行者がいればその者が財産目録を作成し、相続人に提示することが必要です。次に、遺言書の内容に沿って、相続人の相続割合や分割の方法等を指定し、実際に遺産を分配します。遺言書の中に、遺贈や認知、お相続人の廃除・取消しについての記載があれば、それらについても対応が必要です。
遺言は、自分の意思を残しておくことで、自分の死後、相続人間で無用な争いが生じることを防ぐことができます。
しかし、ご自分で苦労して作成した遺言書も法律の要件を満たしていなければ、意味のないただの紙切れとなってしまいます。
また、せっかく作成した遺言書も紛失してしまっては意味がありません。
遺言者が亡くなるその日まで、しっかりと保管しておくことが重要になりますが、遺言書において不利に扱われた相続人が、遺言書を破棄したり、内容を書き替えたりする危険性は排除できません。
そこで、当事務所ではお客様のご希望をお伺いした「自筆証書遺言」「公正証書遺言」の作成から保管、執行の3ステップで専門家がサポートいたします。