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遺産相続コラム

遺産隠しをしている!? 相続財産を隠された場合の対処法や時効とは

2024年02月15日
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遺産隠しをしている!? 相続財産を隠された場合の対処法や時効とは

自分以外の相続人による、被相続人(亡くなった方)の「遺産隠し(財産隠し)」が疑われるときは、隠されたすべての財産を調査したり、発見したりする方法はあるのでしょうか。また、遺産分割協議が終わったあとに特定の相続人による遺産隠しが発覚した場合、遺産分割協議のやり直しをすることができるのかも気になるところです。

相続人による遺産隠しが行われたときは、特別な方法で一気にすべての相続財産を探す方法はありません。預貯金、土地建物などの不動産、株式などの有価証券など個別の相続財産を相続人が根気よくコツコツ探していくことが必要です。

本コラムでは、相続人の遺産隠しの調査方法やその後の対応方法、時効などの注意点について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、相続人が提示してきた相続財産、本当にそれで全部?

自分以外の相続人が「遺産はこれだけだ」と言って、一部の預貯金を開示したとき、異常にその額が少ないケースがあったり、開示自体に応じないケースなどがあったりします。相続人が提示する被相続人の遺産に間違いはないのか、不安になる方は少なくありません。
遺産隠しには、積極的に虚偽の内容を告げるものと、遺産の全部を開示しようとしない消極的なものがあります。被相続人の死後に他の相続人に内緒で現金を費消してしまったり、通帳から預金を引き出してしまったりなど「遺産隠し」の方法はさまざまです。

  1. (1)相続人の預貯金口座から遺産隠しは明らかにできるのか

    遺産隠しを明らかにするには、まず、相続人や被相続人の預貯金口座の入出金履歴を調べてみましょう。

    遺産隠しをしたことが疑われる相続人の口座に、被相続人の口座から多額の資金が入金されている場合や、被相続人口座から理由のわからない出金がなされている場合は、遺産隠しの証拠となる可能性があります。

    ただし、遺産隠しを疑われる相続人が、相続人自身や被相続人の口座に係る入出金履歴の開示を拒否する場合もあるでしょう。
    遺産隠しを疑われる相続人の口座を開示することは難しいのですが、被相続人の口座については、相続人であれば単独で被相続人の金融機関の取引履歴の開示請求をすることができますので、被相続人の金融機関の取引履歴から他の相続人に振り込みがされた記録がないかどうか探してみる方法もあります。

    遺産隠しの証拠確保に苦戦している場合には、弁護士にご相談ください。

  2. (2)遺産分割調停や審判の申し立てで遺産隠しは特定できるのか

    遺産隠しにより相続人同士が争っている状態のなかで遺産分割調停や審判を申し立てた場合、相続人の遺産隠しを明らかにできるのでしょうか。

    遺産分割調停は、相続人間で、遺産分割について話し合う手続きです。被相続人の遺産についてどのような資産があるのか協議をします。遺産分割調停での話し合いで合意に至らない場合には遺産分割調停が不成立となり、遺産分割審判に移行します。

    提出していない預貯金があることが明確であるにもかかわらず、相手が提出していない場合や、預貯金は他にはないと主張をしている場合、調停委員がその相続人に対して「開示するように」と説得してくれることもありますが、強制ではありません。裁判所からの調査嘱託までやってもらえるケースは、非常に少ないのです。

    相手が開示しない場合、その預貯金は「ないもの」として話を進めるか、調停の取り下げを行い、遺産確認訴訟などを起こす必要があるでしょう。

    提出していない預貯金や資産が他にもあるが、その資産が明確ではない場合には、他の遺産があると主張する相続人が証拠を示す必要性があります

2、遺産隠しが疑われる場合の相続財産の見つけ方

相続人の遺産隠しが疑わしい場合、具体的にどのように隠された遺産を探せばよいのかをご説明します。

  1. (1)任意の開示を求める

    まず、すべきことは「遺産を隠していないか」と任意で開示を求める方法です。

    しかし現実には、遺産隠し行為をするような相続人は、開示を求められても真実を話さないケースがほとんどなので、任意で開示がされる可能性は低いかもしれません。

  2. (2)貸金庫、預貯金の調査方法

    被相続人の貸金庫や預貯金を調べるには、被相続人の預金口座がある銀行や信用金庫などの金融機関を特定する必要があります。自宅の近くや被相続人がよく出入りしていた銀行、あるいは、郵便が届いている金融機関などをリストアップしてみましょう。

    用意するものは、戸籍謄本や運転免許証、マイナンバーカードなどの本人確認書類、相続関係説明図や印鑑といった必要書類などです。金融機関に事前に書類開示のためにどういった資料が必要か確認しておくとよいでしょう。

    銀行等の金融機関に対して被相続人の口座の存在の有無、その死亡時の預金残高、口座番号等について相続人の立場で照会をすることが可能です。

    この一連の作業については、心当たりのある金融機関ごとに行わなければなりません。

  3. (3)株式などの有価証券の調査方法

    株式、投資信託などの有価証券等、暗号資産がある際は、預けていると考えられる個別の証券会社等に問い合わせをしましょう。そうすることで、その証券会社等に預けていた資産状況を相続人の立場で開示してもらうことが可能です。

    最近では、ネット証券を利用しているケースもありますので、有価証券等の確認には漏れがないよう注意しましょう。

  4. (4)不動産の調べ方

    不動産については、不動産がある市区町村役場に行って名寄帳(固定資産課税台帳)を開示してもらうことで調べることができます。その市区町村内に被相続人が所有している土地建物すべての情報を開示してもらうことが可能です。

3、遺産分割協議後に遺産隠しがわかった場合の対応方法

遺産分割協議が終わってから、遺産隠しが判明するケースもあるでしょう。そのような場合に考えられる対応について、解説します。
なお、遺産分割協議を事後的にやり直す方法は条件が厳しいため、遺産分割協議書に分割対象とならない遺産が見つかった場合の規定を記載しておくことが最も効果的です。このような規定がない協議書であった場合には、以下の方法を検討ください。

  1. (1)遺産分割協議のやり直しを行う

    遺産分割協議後に分割の対象としなかった遺産が判明したときは、遺産分割協議自体のやり直しも検討できます。原則はやり直しできないものですが、以下のような場合については、いったん成立した遺産分割協議でもやり直すことができます。

    ・法定相続人同士が合意してやり直す
    遺産分割協議に参加する資格のある法定相続人が、全員「やり直し」に納得して合意すれば、遺産分割協議をやり直すことが可能です。

    ・詐欺や強迫があった
    特定の相続人あるいは第三者から詐欺や強迫があった場合にも、遺産分割協議で決めた内容を取り消すことが可能です。

    ・錯誤無効
    遺産隠しによって「預貯金は残されていない」と誤解していた場合や、遺言書が見つかった場合などに関しては、錯誤無効を主張して遺産分割協議をやり直しすることができます。

    ・資格のない者が参加していた、資格のある者が欠けていた
    すでに相続放棄した方や相続欠格者などの資格のない方が参加していたり、反対に法定相続分を有する相続権者が外されて遺産分割協議が行われたりした場合には、遺産分割のやり直しが可能となる場合があります。
  2. (2)弁護士を選任して訴訟を起こす

    遺産隠しがあったことを知らずに遺産分割協議が成立したときは、分割協議の合意の動機に影響を与えるものとして、まずは遺産分割協議をやり直すことを検討します。しかし、遺産分割をやり直す場合には相続人全員の同意が必要となるため、簡単な方法ではありません。

    相続人の全員の同意が得られない場合には、弁護士に依頼をして、裁判所で遺産分割の無効確認調停や訴訟を起こすことを検討しましょう。訴訟で遺産分割の無効が確認されたら、再度相続人全員と話し合いをして、遺産分割協議をやり直すこととなります。

4、遺産隠しに関する注意点|時効・相続税・警察の介入

遺産隠しの問題を解決するにあたって、いくつかの注意点をご紹介します。

  1. (1)遺産分割協議のやり直しには時効がある

    遺産隠しの発覚に伴って遺産分割協議をやり直す場合、まずは流出した(隠された)遺産を取り戻すことが必要です。

    遺産の取り戻しは、不当利得に基づいて請求します(民法第703条、第704条)。
    しかし、不当利得返還請求権は、以下のいずれかの期間が経過すると時効消滅してしまう点に注意しなければなりません(民法第166条第1項)。

    <不当利得返還請求権の消滅時効>
    • ① 遺産隠しが判明した時点から5年
    • ② 遺産隠しが行われた時点から10年

    なお、錯誤(民法第95条)または詐欺(民法第96条)に基づく遺産分割の取消権も、以下のいずれかの期間が経過すると時効消滅します(民法第126条)。

    <遺産分割の取消権の消滅時効>
    • ① 遺産隠しが判明した時点から5年
    • ② 遺産隠しが行われた時点から20年

    不当利得返還請求や取消権の行使をする旨を記載した内容証明郵便を活用すれば、消滅時効の完成が6か月猶予されます(民法第150条第1項)。遺産隠しが疑われる相続人に対して、早い段階で内容証明郵便を送付し、消滅時効の完成を阻止しましょう。

  2. (2)遺産分割協議をやり直すと二重に税が発生する可能性がある

    遺産を相続したら、相続税申告と納税をしなければなりません。

    相続人全員の合意によって遺産分割協議をやり直した場合、まずは最初の遺産分割協議の結果に従った課税が行われます。その後、遺産分割協議をやり直して合意すると、その内容に応じて「財産の譲渡」があったと扱われて、贈与税が課税されます。

    つまり、遺産分割協議を合意解除してやり直すと、二重に税が発生する可能性があるということです。

    一方、錯誤無効や詐欺によるやり直しの場合には、最初の遺産分割協議に対する課税は発生しないため、二重課税にはなりません。ただし、あらためて成立させた遺産分割方法によっては、配偶者控除などを適用できず相続税が上がってしまう可能性があります。

    高額な資産があるケースで遺産分割を行うときには、相続トラブルの問題だけではなく、相続税課税の関係についても意識しておくようにしましょう。

  3. (3)警察は遺産隠しに関する対応をしてくれないことが多い

    遺産隠しは、他人(被相続人または相続人全員)の財産を盗み、または横領する行為です。
    ただし、これらの行為が配偶者・直系血族・同居の親族の間で行われた場合、親族間の犯罪に関する特例(親族相盗例)が適用され、刑が免除されることになっています(刑法第244条第1項、第251条)。

    そのため、遺産隠しについて警察に相談しても、警察は動いてくれない可能性が高いのが現状です。遺産隠しの問題を解決するには、民事紛争として専門的に対応する必要がありますので、弁護士へご相談ください。

遺産相続のお悩みならベリーベストへ
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5、遺産隠しが疑われたときに弁護士に依頼するメリット

他の相続人による遺産隠しが疑われる場合は、弁護士へのご相談をおすすめいたします。遺産隠しについて弁護士にご相談いただく主なメリットは、以下のとおりです。

  1. (1)遺産の調査を弁護士が代行できる

    弁護士は、お手元にある資料の確認や、弁護士会照会(弁護士法第23条の2)などを通じて、遺産の調査を行います。その結果、実際に遺産隠しが行われたのかどうか、事実を正確に把握できる可能性が高まるでしょう。

    相続人ご本人では調査が難しい事柄でも、弁護士にご依頼いただければ詳しく調べられることが多くあります。調査に必要な対応は、弁護士が全面的に代行いたしますので、労力の大幅な軽減にもつながります。

    納得できる形で遺産隠しの問題を解決したいとお考えのときは、弁護士に遺産の調査をご依頼いただくことがおすすめです。

  2. (2)遺産隠し以外の相続手続きのことも相談できる

    弁護士は、遺産隠しの問題に限らず、あらゆる相続手続きに関するご相談に対応できます。

    遺産分割協議の調整や調停・審判の対応、遺留分問題、相続放棄など、お悩みに応じてさまざまなサポートをご提供可能です。不動産の相続登記や相続税申告についても、司法書士・税理士との連携がある事務所であれば、他の事務所を探していただく必要はなく、ワンストップでご依頼いただけます。

    他士業に比べても、非常に幅広い範囲で相続手続きに対応できる点が、弁護士の大きな強みです。遺産相続に関するトラブルやご不安、疑問点などは、何でもお気軽に弁護士へご相談ください。

6、まとめ

相続開始後は、すぐに預貯金などの相続財産調査をしましょう。親族が遺産隠しをしている可能性が疑われるときは、早急に弁護士に法律相談することをおすすめします。

また、相続税の税務調査なども問題となるので、税理士によるサポートも同時に受けることが推奨されます。

ベリーベストは、弁護士をはじめ、グループ内に税理士も在籍しているので、名義預金や生前贈与の贈与税、申告書作成などの相続対策全般のご相談をすることが可能です。

疑問や不安をお持ちの方は、ぜひ一度、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒 106-0032 東京都港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話] 03-6234-1585
[ご相談窓口] 0120-152-063

※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。

URL
https://www.vbest.jp

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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