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遺産相続コラム

父の遺言に納得できない! 遺留分を請求する方法や請求期限について

2018年10月09日
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父の遺言に納得できない! 遺留分を請求する方法や請求期限について

父親が亡くなったときに不動産などの遺産があっても、父親の遺言によって、自分がもらえる遺産がとても少なくされていたり、遺産を相続できなくなっていたりしたら、到底納得できない方もいることでしょう。

そうした場合には、「遺留分減殺請求」によって、最低限の遺留分を取り戻すことができます。ただし、遺留分減殺請求権には、請求期限があるので注意が必要です。

今回は、遺留分減殺請求の方法や請求期限について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、遺留分を侵害した遺言は有効なの?

子どもや配偶者などの法定相続人には、本来的には法定相続分相当の相続権が認められています。しかし、法定相続人にはまったく相続させないような内容の遺言書が残されていることがあります。果たしてこのような遺言は法的に有効なのでしょうか?

遺留分の基本知識とともに、確認していきましょう。

  1. (1)遺留分とは

    遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に保障される、最低限の相続割合のことです。

    法定相続人は、遺産を相続する権利を持っていますが、遺言や贈与によって他の人に遺産を分与されてしまうと、本来であれば法定相続人がもらえるはずの遺産をもらえなくなってしまうことがあります。

    そこで、遺留分を侵害された法定相続人は、遺留分の侵害者に対して、遺留分減殺請求をすることで、侵害された遺留分を取り戻すことができます。

    遺留分が認められる相続人は、兄弟姉妹や甥姪以外の相続人です。具体的には、配偶者や子ども、孫などの直系卑属、親、祖父母などの直系尊属が遺留分権利者となりえます。

  2. (2)遺留分の割合、計算方法

    遺留分の割合は、ケースによって異なりまするので、計算方法を説明します。

    遺留分を計算するときには、まずは遺産における全体の遺留分(総体的遺留分といいます。)を算出します。そして、その総体的遺留分に個別の相続人の法定相続分をかけ算することにより、「個別的な遺留分」を明らかにします。

    総体的遺留分は以下のとおりです。

    • 「親や直系尊属のみが相続人となる場合…遺産全体の3分の1
    • それ以外の場合…遺産全体の2分の1


    これに法定相続分をかけ算すれば、対象となる相続人の個別的遺留分を計算できます。

    以下で例を挙げてみてみましょう。

    • 配偶者と1人の子どもが相続する場合
      この場合、総体的遺留分は2分の1です。そして配偶者の法定相続分は2分の1、子どもの法定相続分は2分の1なので、それぞれの遺留分は2分の1×2分の1 = 4分の1ずつとなります。
    • 子ども3人が相続する場合
      この場合、総体的遺留分は2分の1です。子どもたちはそれぞれ3分の1の法定相続分を有するので、それぞれの遺留分は2分の1×3分の1 = 6分の1ずつとなります。

    参考:【無料計算ツール】 法定相続分・遺留分、あなたはいくら受け取れる?

  3. (3)遺留分が侵害された遺言も有効

    遺留分は、法定相続人に認められた法的な権利です。そうだとすると、遺留分を侵害する遺言書は無効なのでしょうか?

    法律では、遺言に際し、「遺留分に関する規定に違反することができない」と定められています(民法964条)。

    ただ、この規定は、遺留分を侵害する遺言を無効にするものではないと考えられています。

    遺言によって遺留分が侵害された場合、遺留分権利者が遺留分減殺請求を行えば、遺留分の限度で遺言の効力が失われますが、請求期限までに権利行使されなければ遺言は有効なものになります。

2、遺留分の侵害に気づいたら、遺留分減殺請求を

遺留分の侵害を受けた法定相続人が相続財産を取り戻すためには、遺留分減殺請求をする必要があります。その手続き方法や注意点をご説明します。

  1. (1)遺留分減殺請求とは

    遺留分減殺請求とは、遺留分権利者が侵害者に対し、遺留分に違反する処分行為の効力を制限する権利を行使することです。

    遺留分が侵害されていても、遺留分減殺請求をしなければ遺留分に違反してなされた贈与や遺贈の効力は有効のままです。

    遺留分減殺請求権の行使には請求期限があるので、自分の遺留分が侵害されていると知ったら、直ちに侵害者に対して遺留分減殺請求をすべきです。

  2. (2)遺留分減殺請求の流れや注意点

    遺留分減殺請求をしたいときは、具体的にどのように進めていけば良いのかご説明します。

    遺言の内容を知る
    遺留分減殺請求を行う前提として、遺言内容を正しく把握することが重要です。

    内容がわからないと、そもそも遺留分を侵害されているのか不明で、遺留分減殺請求をすべきかどうかの判断ができないからです。

    たとえば、自分では遺留分を侵害されたと思っても、遺言を精査してみると、実は侵害されていないケースもあります。

    反対に、自分では「遺産も少ないし、遺留分を請求しなくても良いか」と思っていたところ、実際には不動産などの多額の遺産が残っているケースもあります。

    そこで、まずは遺言書を持っている相続人や第三者に対して開示を求めて内容を確認しましょう。


    相続人調査、財産調査と遺産の確定
    遺言書の内容を確認すると同時に、相続人調査や財産調査も必要です。

    相続人調査とは、そのケースにおいて誰が法定相続人であるかを調べる手続きです。

    法定相続人の内訳によって遺留分の割合が変わってくるので、まずは相続人の全体像を明らかにする必要があるのです。

    具体的な調査方法としては、被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本や除籍謄本類を取り寄せて、自分が把握していない子どもがいないかなどを確認しましょう。


    次に相続財産の調査が必要です。相続財産の調査とは、どのような遺産がどれだけあるか、確認する手続きです。

    遺言書があっても、相続財産の調査は必要です。遺言書に書かれているもの以外の遺産がある可能性や、反対に遺言書に記されている遺産がすでになくなっている可能性もあるからです。

    遺留分は総財産に対する割合で計算されるので、遺言書作成時点と相続開始時とで遺産内容や評価額が変わっていたら、遺留分侵害の有無や返還請求できる遺産の価額も遺言書の内容だけで判断できないことになります。

    また、遺言によって分け方が決められていない遺産があれば、相続人が遺産分割協議を行い、遺産相続方法を決めなければなりません。

    さらに、財産調査の結果、債務超過になっていたら、負債の相続を避けるために、熟慮期間内に相続放棄や限定承認をすることなども検討しなければなりません。その場合、遺留分請求どころではなくなります。

    相続人の範囲と遺産内容を確定させたら、遺言書の内容と照らし合わせることにより、どの程度の遺留分が侵害されているかが明らかになります。


    遺留分減殺請求の通知
    遺留分の侵害状況が明らかになったら、侵害者に対して遺留分減殺請求を行いましょう。

    遺留分減殺請求をするときには、請求期限との関係でポイントがあるので、必ず以下の手順で進めてください。

    まず、必ず「内容証明郵便」を使って、遺留分侵害者に対し、「遺留分減殺請求書」を送付します。遺言執行者が存在する場合には、遺言執行者にも送付しておくべきです。

    遺留分減殺請求の方法は、法律によって定められているわけではないので、自由な方式で行うことができます。

    しかし、遺留分減殺請求権には請求期限(消滅時効)があるので、確実に期限内に行う必要があり、後からでも、いつ遺留分減殺請求をしたのか証明できるようにしておく必要があります。

    内容証明郵便を利用すると、郵便局と差出人の手元に請求書の控えが残りますし、郵便局が確定日付を入れてくれます。また、「配達証明」をつけておけば、遺留分減殺請求書が相手に届いた日付を郵便局が証明してくれるので、後に調停や裁判になったときにも、請求期限内に遺留分減殺請求をしたことを容易に証明することができます。

    以上をまとめると、遺留分減殺請求をするときには必ず内容証明郵便を使い、配達証明をつけて、「遺留分減殺請求書」を侵害者全員に期限内に送付することが重要となります。

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3、時効に注意! 遺留分減殺請求の請求期限について

これまでのコラムの中で何度か言及していますが、遺留分減殺請求権には期限があります。具体的にはどのくらいの期間となっているのか、以下でご説明します。

  1. (1)遺留分減殺請求権の請求期限は、相続の開始及び減殺すべき贈与、遺贈があったことを知ったときから1年

    遺留分減殺請求権の請求期限には「消滅時効」と「除斥期間」の2種類があります。

    まずは請求期限のうち、消滅時効からご説明します。

    遺留分減殺請求権の消滅時効は、相続開始と遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知ったときから1年間です。

    つまり、被相続人が死亡した事実と、遺言や贈与によって自分の遺留分が侵害されている事実を知ってから1年以内に遺留分減殺請求をしないと、遺留分を侵害している状態の回復ができなくなるということです。

    父親などが亡くなり、遺言書の内容を知っても、「遺留分減殺請求をするほどではないかも」などと迷ってしまう方も多くいらっしゃいます。しかし、そうするとすぐに1年の請求期限が経過して、権利行使ができなくなってしまいます。

    迷っているならば、請求期限が経過する前に、一度専門家である弁護士に対応を相談してみることをおすすめします。

  2. (2)除斥期間は相続開始から10年

    請求期限には「除斥期間」もあります。これは、法律によって定められた期間の経過により、権利が当然に消滅してしまうことです。

    遺留分減殺請求権の除斥期間は、相続開始後10年間です。

    そこで、被相続人が死亡してから10年が経過すると、たとえ被相続人の死亡や遺留分を侵害する遺言書の存在や内容を知らなくても、遺留分減殺請求ができなくなってしまいます。

    たとえば、両親や兄弟姉妹などと音信不通になっている場合などには、死亡の事実を知らないまま遺留分減殺請求の除斥期間が過ぎて、遺留分減殺請求ができなくなってしまうことがあります。

    以上のように、遺留分減殺請求には期限があるので、相続開始後は早期に状況を整理して、権利が消滅してしまう前に請求をする必要があります。

4、まとめ

父親などが亡くなったときには、遺留分の請求期限を意識しながら早めに遺言書の有無や内容を確かめて、遺留分が侵害されていないか確認しましょう。

もしも遺留分侵害を受けていたら、請求期限内に、早急に遺留分減殺請求を行うべきです。
遺留分の請求期限が心配になったら、早急にベリーベスト法律事務所の弁護士までご相談ください。知見豊富な弁護士が、親身になって適切にサポートいたします。

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ご注意ください

「遺留分減殺請求」は民法改正(2019年7月1日施行)により「遺留分侵害額請求」へ名称変更、および、制度内容も変更となりました。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒 106-0032 東京都港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話] 03-6234-1585
[ご相談窓口] 0120-152-063

※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。

URL
https://www.vbest.jp

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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