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代襲相続することになるってどういうこと? 遺留分はどうなる?

2020年04月28日
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代襲相続することになるってどういうこと? 遺留分はどうなる?

相続というと、被相続人(亡くなった人)の遺産を配偶者や子が半分ずつ相続するというパターンを思いつく方が多いと思います。ところが、現実の相続のパターンは多様であり、被相続人の孫や甥姪が相続する「代襲相続」もあります。さらには相続する割合についての最低保障分ともいえる「遺留分」の取り扱いが問題になることがあります。

ここでは、代襲相続と遺留分について、それぞれの関係性も踏まえながらベリーベスト法律事務所の弁護士が解説していきます。

1、相続できる人は誰?

  1. (1)法定相続人とは?

    民法は相続人になる人の範囲を定めており、これに該当する相続人を「法定相続人」といいます(民法第886条~第890条)。
    法定相続人には、被相続人の配偶者及び被相続人と一定の血族関係にあり、かつ相続開始のときに生存していた人が該当します。ただし、胎児については例外として民法第886条の規定により生きて産まれることを条件に、相続権が認められています。したがって、義理の親や義理の兄弟姉妹等の姻族、内縁の配偶者などは法定相続人に該当しません。

  2. (2)相続できる人と順位について

    民法では、被相続人の配偶者及び血族について、それぞれが相続人になることができる優先順位を以下のように定めています。

    ●配偶者(常に相続人)
    配偶者は常に相続人となります。民法第890条の規定により、配偶者は他の法定相続人と同順位で被相続人の遺産を共同相続することができます。

    ●子(第1順位)
    被相続人と法律上の親子関係にある子であれば、第1順位の相続人となります(民法第887条)。
    別の言い方をしますと、法律上の親子関係にない子は相続人にはなることができないのです。
    たとえば、婚外子は、父親が認知していないと、相続人に該当しません。また、特別養子縁組の場合は、縁組した時点で養子になった子と実父母及び血族との親族関係が法律上終了するため、実父母や実兄弟姉妹の相続人ではなくなります(民法第817条の9)。普通養子は、実父母及び養親の相続人となることができます。

    ●直系尊属(第2順位)
    直系尊属とは、被相続人の父母や祖父母のことです。直系尊属は第2順位の法定相続人として、被相続人に子及びその直系卑属(後述する代襲相続人・再代襲相続人)がいない場合に相続人となります。

    ●兄弟姉妹(第3順位)
    兄弟姉妹は、被相続人に子及びその直系卑属(代襲相続人・再代襲相続人)及び直系尊属がいない場合にのみ、第3順位の相続人となります。いわゆる異父母の兄弟姉妹も、相続人となることができます。

  3. (3)法定相続人になれない場合

    法定相続人であっても、相続放棄をした人、被相続人から廃除された人、相続欠格者に該当する人は、相続人になることができません。

    ●相続放棄
    相続放棄とは、相続人が自己の意思により被相続人の財産及び権利義務の一切を相続しないことです。相続放棄をした人は最初から相続人にならなかったとみなされ、代襲相続及び再代襲相続も発生しません(民法第939条)。相続放棄は、家庭裁判所で所定の手続きをする必要があります(民法第938条)。

    参考:相続放棄・限定承認に関する基礎知識

    ●推定相続人の廃除
    民法第892条では、被相続人に対して虐待する、重大な侮辱を加えるなどの非行があった相続人に対し、被相続人が廃除の意思を家庭裁判所に申し立て、家庭裁判所がこれを認める審判をすることにより相続人の範囲から廃除できると定めています。廃除は、被相続人が自ら家庭裁判所へ申し立てる方法のほかに、被相続人の遺言にもとづき遺言執行者が家庭裁判所へ申し立てる方法も認められています。

    参考:親不孝者の子供には相続させたくない! 相続人を廃除することはできる?

    ●相続欠格
    相続人が被相続人を殺害したり詐欺や脅迫の手段で自己に有利な遺言を行わせたりするなど、民法第891条に規定する事由に該当する相続人は相続人の欠格事由があるとして相続権を失い、遺贈(被相続人の遺言によって遺産を受け取ること)を受けることもできなくなります。
    なお、仮に父との関係で相続欠格者に該当したとしても、母との関係では相続人になることはできます。

    参考:相続欠格とは? 相続廃除との違いや相続手続きにおける注意点を解説します

2、代襲相続とはどういうこと?

  1. (1)代襲相続の概要、代襲相続人になるのは誰?

    代襲相続とは、被相続人の死亡以前に、法定相続人である子または兄弟姉妹が以下のいずれかに該当した場合に、その者の直系卑属(兄弟姉妹の場合は子に限ります)が、その者に代わってその者の受けるはずであった相続分を相続することをいいます(民法第887条2項、民法第889条2項)。
    死亡した父親に代わって、その子が祖父母の遺産を相続する場合が代表的な例です。

    • 相続開始前に死亡
    • 被相続人から廃除
    • 相続人の欠格事由に該当


    子の代襲者が上記に該当している場合は、その者の子が再代襲相続人となります。つまり、被相続人から見ると、子が死亡していれば孫が代襲相続人、孫が死亡していればひ孫が再代襲相続人、相続人に該当する兄弟姉妹が死亡していれば甥姪が代襲相続人ということになります。

  2. (2)養子の場合は?

    養子の子が代襲相続人または再代襲相続人に該当するか否かは、生まれた時が養子縁組の前後で判断が下記のとおり分かれるというのが判例です。
    養子縁組以前に既に出生していた養子の子は、養親である被相続人と血族関係がないことから被相続人の直系卑属には該当しません。また、被相続人の他の子との間にも親族関係(叔父・叔母と甥・姪の関係)もありません。したがって、この場合、養子の子は代襲相続人になれません。
    しかし、養子縁組以降に出生した養子の子は養親及びその血族との間に法律上の血族関係が生じるとして、代襲相続人になれるとされています。

  3. (3)代襲相続ができないケースとは?

    配偶者と直系尊属には代襲相続及び再代襲相続は認められません。また、相続人が相続放棄した場合は、代襲相続及び再代襲相続は認められません。

3、代襲相続人に遺留分はある?

  1. (1)遺留分とは?

    民法第900条で定められた法定相続人の相続分の割合のことを、法定相続分と言います。
    これに対して遺留分とは、簡単に言うと一定の法定相続人のために最低限保障される相続割合のことです。

  2. (2)遺留分権利者と遺留分割合とは?

    民法第1042条では、遺留分権利者と遺留分割合について以下のように定めています。

    • 遺留分権利者は兄弟姉妹以外の相続人、つまり、被相続人の配偶者・子・直系尊属となります。
    • 遺留分の割合については、直系尊属のみが相続人の場合は法定相続割合の3分の1、その他の場合は2分の1となります。


  3. (3)遺留分の侵害

    遺留分を侵害された相続人は、民法第1046条の規定に基づき、遺留分権利者として他の相続人に対して「遺留分侵害額請求」をなすことができます。話し合いで解決できないときは、調停や訴訟を申し立てることが認められています。

  4. (4)遺留分の放棄

    本来、遺留分も個人的な財産的権利ですから本来は自由に放棄できるはずです。しかし、遺留分の放棄を全くの自由としてしまうと、法定相続人が被相続人から生前に遺留分の放棄を強要されることも考えられます。そこで、相続開始前の遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可が必要とされています(民法第1049条1項)。

    具体的には、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所へ、必要書類とともに「遺留分放棄許可の審判申立」を行います。家庭裁判所からの許可が出ることにより、遺留分を放棄することができます。ただし、この手続きで放棄できるのはあくまで遺留分のみです。相続人の地位は消滅していないことにご注意ください。

4、代襲相続したくない場合はどうしたらいい?

ここでは、以下のケースを例にとり、代襲相続人として取り得る対策などについてご説明します。

  • 親はすでに他界しており、祖父の相続が発生。自分が代襲相続することになった。
  • ところが、祖父の遺産は積極財産(預貯金や不動産などプラスの財産)よりも借金(債務)の方が多いことが判明。
  • 当然ながら、借金など相続したくない。


  1. (1)遺産分割協議だけでは不十分

    遺産分割協議とは、相続人の間で話し合うことによって誰が・どの遺産を・どの割合で被相続人の財産を相続するか決めることです。この遺産分割協議には、当然ながら代襲相続人も参加することになります。
    通常、遺産分割協議を行う前に被相続人の遺産調査が行われるため、この時点で借金などマイナスの財産(消極財産)の存在が判明することになります。

    代襲相続人にも法定相続分に応じた借金の返済義務が発生しています。
    では、遺産分割協議で借金の返済義務を代襲相続人である自分は負担しないと決めた場合、どうなるのでしょう?

    そのような取り決めをしても、債権者が承諾しないかぎり、相続人は法定相続割合に応じて借金を弁済する義務を負います。「自分は何も遺産を受け取らない」と明記した遺産分割協議書を作成しても、債権者との関係では法定相続分の債務を相続することになってしまうのです。

  2. (2)相続放棄の効果

    このようなケースでは代襲相続する利益はありませんから、取るべき方法として、先述した相続放棄が考えられます。相続放棄を行えば最初から代襲相続人ではなかったとされるわけですから、被相続人の債務を相続することはなく、借金を弁済する義務を負わなくて済むのです。ただし、他のプラスの遺産もすべて代襲相続することはできなくなります。

  3. (3)相続放棄の手続き

    相続放棄をするには、原則として、被相続人が亡くなったこと(相続の開始)及び自分が相続人になったことを知ってから3か月以内に、被相続人が生前最後に住んでいた住所地を管轄する家庭裁判所に相続放棄する旨を申し出てください。

    もし、相続発生後3か月に到達しつつあるのにもかかわらず放棄するか否か決められない場合や被相続人の遺産に債務があったか否かについて調査が終わっていない場合には、家庭裁判所に期間延長の審判を請求することもできます(民法第915条1項)。

    なお、相続放棄を被相続人の生前に行うことは認められていませんので、相続放棄の手続きは相続開始後に行うことになります。

  4. (4)相続放棄をする際の注意事項

    相続放棄をすることにより下位順位の相続人に相続権が移ることにご注意ください。本件のように積極財産(預貯金や不動産などプラスの財産)よりも借金(債務)のほうが多いケースでは特に注意が必要です。以下、その理由を説明します。

    祖父の子及びその代襲相続人の全員(第1順位の法定相続人)が相続放棄をすると、祖父の兄弟姉妹(第2順位の法定相続人)が第1順位の法定相続人に替わって債務を相続することになります。そのため、債権者は、子らに替わって法定相続人になった兄弟姉妹に対して、借金を弁済せよとの連絡を入れることになります。

    当然、その兄弟姉妹からは、何で相続放棄することを事前に教えてくれなかったと苦情を言われ、親戚間で思わぬトラブルが生じてしまったということも少なくありません。このようなトラブルを防ぐために、相続放棄をする際は、前もって自分たちが相続放棄することを次順位で法定相続人になる親族の方にも伝えておくのがよいでしょう。長い間疎遠であった等、さまざまな事情から直接伝えることが難しいと考えられる場合は、法律の専門家である弁護士に依頼することも一案です。

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5、まとめ

相続は親族間のトラブルが多く、特に代襲相続や遺留分が問題となった場合はトラブルがさらに複雑化することもあります。そのため、昔から「相続」でなく「争族」と揶揄されるほどでした。

代襲相続や遺留分などについて疑問があるとき、不安がある場合は、お早めに弁護士にご相談ください。
代襲相続や遺留分にかぎらず、相続全般について豊富な知識と経験をもつ弁護士であれば、あなたの代理人として円満な解決に向けた対応を依頼することができます。
ベリーベスト法律事務所では、代襲相続や遺留分はもちろんのこと、遺産分割等相続全般に関するご相談を受付けております。ぜひお気軽にご連絡ください。

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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