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死後離婚と相続の関係とは? 戸籍や遺族年金への影響もあわせて解説

2020年06月16日
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死後離婚と相続の関係とは? 戸籍や遺族年金への影響もあわせて解説

家族の在り方は様々です。配偶者や、義父母などの親戚付き合いがうまくいっている家族もあれば、そうでない場合もあるでしょう。夫婦の一方である配偶者が亡くなった場合、あまりうまくいっていない義父母との付き合い方はどうすればいいのでしょうか。

死後離婚とは、配偶者の死後に、義父母など配偶者の血縁者との関係を断ち切る手続きのことです。

もっとも、死後離婚という言葉を耳にしたことはあっても、死後離婚をすると相続はどうなるのか、子どもに不利益はないのか、遺族年金はもらえるのかなど、気になることも多いと思います。

そこで今回は、死後離婚と相続の関係について、戸籍や遺族年金への影響等も含めて解説いたします。

1、死後離婚を考える人は増えている

  1. (1)死後離婚の増加

    配偶者が死亡すると、婚姻関係は終了します。
    もっとも、離婚の場合と異なり、配偶者が死亡しても、義父母ら配偶者の親族(姻族)との関係が当然に断ち切られるわけではありません。関係を断ち切るためには「姻族関係終了届」を提出する必要があります。
    この手続きは、配偶者の死後行われることから「死後離婚」と呼ばれています。
    なお、配偶者の死後に離婚はできませんので、「死後離婚」は法律用語ではなく、通称にすぎません。

    政府の統計資料によると、配偶者の死後、「姻族関係終了届」を提出する人の数は、平成21年度は1823件だったものが、平成30年度には4124件と直近10年間で2倍以上に増加しています。

  2. (2)配偶者死亡と離婚の違い

    婚姻は、離婚または当事者の一方の死亡によって解消します。
    しかし、離婚と死亡の場合では、効果に以下のような違いがあります。

    ① 氏(姓)の使用
    離婚の場合、婚姻によって氏を改めた夫または妻は、法律上当然に旧姓に戻ります。ただし、離婚の日から3か月以内に届け出れば、婚姻中に使用していた名字を使い続けることができます。
    他方、夫婦の一方が死亡した場合、名字は影響を受けません。
    残された配偶者が名字を変えていて、旧姓に戻したい場合には、復氏届を市区町村役場に提出します。復氏届に提出期限はありません。

    ② 姻族関係
    姻族とは、配偶者と血縁関係にある者(血族)および血族の配偶者のことをいいます。
    たとえば、配偶者の血族とは、配偶者の父母、配偶者の兄弟姉妹やその子等です。
    民法では、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族を「親族」としていますので、結婚すると配偶者の両親や配偶者の祖父母、配偶者の兄弟などとも親族になります。

    離婚をすると、配偶者の血族との姻族関係は終了します。
    他方、配偶者が死亡しても、姻族関係は終了しません。したがって、姻族関係を終了させるためには「姻族関係終了届」を提出する必要があります。
    なお、義父母などの姻族の側からは、残された配偶者との関係を終了させることはできません。

  3. (3)死後離婚が増えている理由

    死後離婚が増えている理由は、核家族化の進行が考えられます。
    義父母との同居が減り、配偶者が存命中は年に数度の行き来があっても、配偶者の死後は、義父母との関係を続けたくないというケースです。

    他に、お墓をどうするかで残された配偶者が義父母とでもめるケースや、義父母や義理の兄弟姉妹と遺産を巡って争いになるケースもあります。

2、死後離婚すると義理の両親の扶養義務がなくなる!?

  1. (1)死後離婚の効果

    民法では、同居の親族は互いに扶(たす)け合わなければならないとされ、特別の事情がある場合には、三親等内の親族間においても扶養義務が生じる可能性があることが定められています。

  2. (2)姻族関係終了届の手続きの流れ

    本籍地または居住地の市区町村に姻族関係終了届を提出すれば、届出をした日に姻族関係は終了します。
    届出をするにあたって、義父母等配偶者の血族からの許可は必要なく単独でできます。
    配偶者の死亡届が出された後であればいつでも提出でき、提出期限はありません。

    なお、一度手続きをすると、後で取り消すことはできません。
    姻族関係を復活させることはできないため、急ぐ必要がなければ、慎重に考えてから手続きをしましょう。

3、死後離婚と相続の関係

  1. (1)生存配偶者への相続の影響

    死後離婚をしても、相続に影響はありません。
    姻族関係終了届は姻族との関係を終了させるだけで、死亡した配偶者との関係を終了させるものではないからです。
    また、配偶者の財産を相続した後であっても、すでに受け取った財産を返還する必要はありません。

  2. (2)子どもへの相続の影響

    死後離婚をしても、子どもへの相続に影響はありません。
    死後離婚をすれば、残された配偶者と姻族との関係は終了しますが、亡くなった配偶者との間にできた子どもは何の影響を受けないからです。
    したがって、子どもは、亡くなった配偶者の財産を相続することができることはもちろん、死後離婚後に祖父母が亡くなった場合にも、その財産を相続できる場合があります。

  3. (3)死後離婚は相続放棄ではない

    死後離婚をしても相続に影響はないため、亡くなった配偶者が多額の借金を抱えていて相続放棄をしたいという場合には、別途、相続放棄の手続きが必要です。姻族関係終了届を提出しても、相続放棄をしたことにはなりません。

    参考:相続放棄とは

4、死後離婚と遺族年金への影響と、戸籍について知っておきたいこと

  1. (1)姻族関係を終了しても遺族年金は受給できる

    姻族関係終了届を提出しても、遺族年金は受給できます。遺族年金は、亡くなった人の配偶者等遺族に支払われるものなので、姻族関係が終了することと関係ないからです。

    参考:遺族年金の基礎知識

  2. (2)姻族関係を終了しても戸籍は変わらない

    戸籍は、夫婦とその未婚の子を単位として編製されるものなので、姻族関係終了届を提出しても「姻族関係終了」と記載されるほかは戸籍に変更はありません。
    婚姻前の氏に戻したい場合には、「復氏届」を提出します。復氏届を提出すると配偶者の戸籍から抜けることになりますので、結婚前の戸籍に戻るか、分籍をして新たな戸籍を作ることになります。
    復氏をしても子どもの氏には影響がないため、子どもに自分と同じ氏を名乗らせたい場合には、家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立書」を提出して許可を得る必要があります。家庭裁判所の許可が出たら、市区町村役場で子を自分の戸籍に入籍させる手続きをします。

5、まとめ

「熟年離婚」という言葉があるように、長年に渡って不満を抱えていた夫婦の一方が、定年や子どもの独立を機に離婚を切り出すことは、よくあります。
ということは、夫婦関係に不満を抱えながらも離婚には至らないまま配偶者に先立たれる場合も少なからずあるでしょう。

また、相手方の両親の反対を押し切って結婚した場合など、義父母との関係が悪くて結婚後は一切連絡を取っていないという場合もあるでしょう。

こうした場合に、配偶者の死後、義父母などの姻族との関係を断ちたいと思うのは自然なことです。本コラムで説明してきた死後離婚は、上記のような方にとって有効な手段といえます。

一方で、姻族関係終了届の手続きや相続問題など、お一人で対応するのは不安という方も多いと思います。ベリーベスト法律事務所には相続関係について経験豊富な弁護士が在籍しておりますので、相続問題についてお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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