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残される家族に迷惑をかけたくない。自分ができる相続準備を弁護士が解説

2019年01月07日
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残される家族に迷惑をかけたくない。自分ができる相続準備を弁護士が解説

あなたが亡くなったら、残された家族はお通夜、葬儀や告別式をはじめとして各種の届け出や諸手続きに追われます。そして葬儀が終わればすぐに始まるのが相続手続きです。

相続人たちがなるべくスムーズに相続手続きを終えるために生前から準備できることがいくつもあります。

本コラムでは、あなたが亡くなった後、遺族はどのようなことを行うのか、生前にどういった準備をしておくのが望ましいかなどの知識を弁護士が解説していきます。

1、あなたが亡くなったときから始まる遺産相続。残されたご家族が行うこととは?

あなたが亡くなったとき、残されたご家族が何をすることになるのか、みていきましょう。

  1. (1)あなたの葬儀・告別式を執り行う

    まずは役所に死亡届を提出し、火葬許可証をもらいます。そして葬儀社と連絡を取り、お通夜や告別式を執り行います。告別式の際に初七日の法要まで終えることが通例です。
    死亡後葬儀が終了するまでの間は非常に忙しいものです。できれば相続の準備として、生前にあなたやご家族が話し合って依頼する葬儀社を決め、「生前予約」をしておくことをおすすめします。そうすれば死亡後にご家族が葬儀社を依頼したり葬儀の方法を決めたりしなくて済み、負担が軽減されます。ただし、すでにお寺にお墓があり、そこに納骨を希望される方は気をつけて下さい。お寺によっては、他所で葬儀を行った後で納骨だけをお願いすると、埋葬を拒否されたり、もう一度当寺で葬式をするようにという難しい掛け合いになることがあります。家族に迷惑をかけたくないという趣旨で行う準備が、かえって迷惑をかけることになってはいけないので、留意されたほうが良いでしょう。 生前に準備できることのひとつとして「生前予約」があることを、覚えておきましょう。

  2. (2)相続手続きを開始する

    葬儀が終了したら、相続人たちはすぐに相続手続きを開始します。
    具体的にはあなたが残した遺言書がないか、また遺産の内容となる相続財産がどこにどれだけあるかを調査しなければなりません。
    遺言書があるのかないのか、またどこにあるのかわからない状態では、相続人たちが遺言書を探す手間がかかってしまいます。あなたができる準備として、できれば公正証書遺言を作成し、相続が発生したら公証役場に行って調べるように言っておくと、相続後の手続きがスムーズに進みます。

2、財産の内容と保管場所をご家族に伝えることが大切

相続人たちは、相続開始後どのような財産が残されているか調べる必要があります。ただ、あなたにどのような資産や負債があったかということは、子どもたちには非常にわかりにくいことです。そこで相続の準備事項として、ご家族にあなたの資産や負債の内容を伝えておきましょう。
具体的な準備としては「財産目録」という表を作成すると良いです。ここには不動産や預貯金、生命保険、株などの有価証券、ゴルフ会員権などの明細と評価額を書いておきます。負債があったらそれについても書いておきましょう。負債に関する情報がないと、相続人たちは相続放棄や限定承認をすべきかどうか、判断できないからです。
または「エンディングノート」を作成し、そこに相続財産の目録を書いておく方法でもかまいません。目録やエンディングノートを準備したら、必ず発見してもらえるように、保管場所を相続人に告げておきましょう。また遺言書によって相続財産を明示することも可能です。

3、相続用の戸籍を自分でとる

次にできる相続の準備事項として「戸籍謄本類を取得すること」があります。

  1. (1)戸籍が必要な理由

    戸籍謄本が必要なのは、家などの不動産の名義書き換えや預貯金の払い戻しといった各種の手続きにおいて、あなたが生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本類が必要だからです。
    あなたが取り寄せていない場合、ご家族が1から市町村役場に照会してすべての戸籍謄本類を取得しなければなりません。
    戸籍の数は膨大になることもあり非常に手間がかかるので、できればあなたが準備しておいてあげると親切なのです。

  2. (2)相続に必要な戸籍謄本とは

    相続の準備として必要な戸籍は、「あなたが生まれてから亡くなるまでのすべての連続した戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本」です。
    連続している必要があり、少しでも抜けや漏れがあるとその分を取り直す必要があります。

  3. (3)戸籍謄本の有効期限について

    相続の戸籍謄本類には、特に有効期限はもうけられていません。あなたが生前に準備しておけば、後に相続人たちがあなたの死亡の事実を記載した戸籍謄本を取るだけでそのまま利用できて手間が省けます。

  4. (4)戸籍謄本の入手方法

    戸籍謄本類は、本籍地のある市区町村役場で申請をすると送ってもらえるので、ご家族のためにも1つ1つ取得して準備しておきましょう。

4、遺産相続で相続できるもの、できないものとは?

自分の手もとに労働時間を記録した資料がない場合でもあきらめるのはまだ早いと言えます。使用者には労働関係に関する重要な書類を保管する義務があるため、会社に労働時間に関する記録の開示を求めましょう。実際、交渉で素直に開示するケースは多くはないですが、使用者に開示を求め、労働時間としては、手元にある資料だけで残業時間を推定計算して請求することになります。

  1. (1)相続できるもの

    相続対象になるものは、以下の通りです。

    • 不動産
    • 預貯金
    • 株、投資信託
    • 動産(絵画や骨董品、宝石など)
    • 賃貸人や賃借人の地位
    • 自動車
    • 貸付金、損害賠償請求権、売掛金
    • 著作権


    また借入金や滞納税などの負債、保証人の地位なども基本的にすべて相続の対象となります。

  2. (2)相続できないもの

    一方、以下のようなものは相続の対象になりません。

    • 祭祀財産、祭祀承継者の地位
    • 扶養請求権(養育費の請求権)
    • 恩給の請求権
    • 使用貸借の借主の地位
    • 雇用契約上の地位
    • 生活保護や年金の受給権など
    • 死亡保険金


    死亡保険金については、原則として相続財産になりません(税務上の取り扱いとは異なります)。ただしあまりに高額で他の遺産がなく、死亡保険金を相続財産から外すと不公平になる場合には、死亡保険金が特別受益として評価されます。

  3. (3)遺産の分け方

    あなたの遺言がない場合、上記のような遺産は相続人たちが「遺産分割協議」を行うことによって分け合う必要があります。
    遺産分割協議には相続人が全員参加する必要があるので、配偶者や子ども、場合によっては親や兄弟姉妹が全員集まって遺産の分け方を協議する必要があります。協議が調ったら遺産分割協議書を作成し、不動産の名義書換えなどの相続手続きを進めます。
    話し合いで合意できないケースでは、家庭裁判所で「遺産分割調停」を行い、遺産分割の方法を取り決めなければなりません。調停でも解決できない場合には「遺産分割審判」となり、裁判官に遺産分割の方法を決めてもらいます。

  4. (4)遺留分と法定相続分の違い

    ところで子どもたちなどの相続人には「法定相続分」と「遺留分」が認められます。
    法定相続分は、子どもや配偶者、親や兄弟姉妹など、民法によって「相続人」と定められる人に認められるそれぞれの相続割合のことです。たとえば配偶者と子どもが相続人になる場合には、配偶者が2分の1、子どもが2分の1などと決められています。
    遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人の遺産取得分が遺言や贈与によって減らされすぎた場合に、最低限認められる遺産です。遺留分は、遺言や贈与があったときにしか問題になりませんし、それによって遺産相続分が大きく遺留分が侵害されたときにしか問題になりません。また認められるのは子どもや親、配偶者などの相続人であり、兄弟姉妹や甥姪には遺留分がありません。

  5. (5)遺産は話し合いで自由に分け方が決まる

    このように遺産相続は相続人たちが話し合って行うのが原則ですが、「法定相続分」に必ず従わねばならないものでもありません。
    相続人が全員合意すれば、どのような方法で遺産相続することも可能です。たとえば相続分を放棄したり別の相続人に譲ったりして自分はまったく相続しないことも可能です。

5、誰が相続する権利をもっているのか?

法律上「法定相続人」となって遺産相続権を持つ人が誰なのか、相続準備を進める際の基礎知識として押さえておきましょう。

  1. (1)相続人の範囲

    相続人になる可能性があるのは、以下の人たちです。

    • 配偶者
    • 子ども、孫などの直系卑属
    • 親、祖父母などの直系尊属
    • 兄弟姉妹と甥姪


    これらの法律によって相続する権利を与えられている相続人を「法定相続人」と言います。

  2. (2)相続人の優先順位

    上記の法定相続人は、全員が常に相続できるわけではなく順位があります。
    まず配偶者は常に相続人となります。
    そして子どもが第1順位の相続人です。子どもがあなたより先に亡くなっていたら孫が相続人となります。孫もひ孫を残して先に亡くなっていたらひ孫が相続します。
    子どもや孫、ひ孫などの直系卑属がいない場合には、親が相続人となります。親があなたより先に亡くなっていて祖父母が生きていたら、祖父母が相続します。
    子どもも孫も親も祖父母もいない場合には、兄弟姉妹が第3順位の相続人となります。兄弟姉妹が先に死亡している場合、その子どもである甥姪が相続します。ただし、兄弟姉妹の場合には、甥姪までで、甥姪が子どもを残して先に死んでいても、その子どもは相続しません。

6、遺産相続で相続できるもの、できないものとは?

相続人たちが遺産分割協議をするときには、トラブルが発生しやすいです。そこで遺産分割対策の準備として「遺言書」を作成しておくことをおすすめします。遺言書があると、相続人たちが遺産分割協議で遺産相続方法を決める必要がなくなるからです。
以下では準備しておくべき遺言書について、詳しくみていきましょう。

  1. (1)遺言書で有効なこと、有効でないこと

    遺言書には書いて有効になることと有効でないことがあります。
    まず、細かいことは他にもありますが、以下のようなことは有効です。

    • 相続分の指定
    • 遺産分割方法の指定
    • 遺贈
    • 財団法人設立のための財産の拠出
    • 信託
    • 子どもの認知
    • 相続人の廃除や取り消し
    • 遺言執行者の指定、遺言執行者を選任すべき人の指定


    一方、以下のようなことを遺言書に書いても法的な効果はありません。

    • 兄弟(家族)仲良くするように、などの文言
    • ペットに遺産を相続させる
    • 誰かを傷つけるようにとか物を盗むようになど、違法なことを指示する


    法的効果はありませんが、家族仲良くするように、などということを書いておくこと自体は悪いことではありません。

  2. (2)遺言書を残す際の注意点

    遺言書を準備するときには、上記で説明した遺留分に注意すべきです。法律では、「遺言によっても遺留分を侵害できない」とされています。遺留分を侵害する内容の遺言書を作成してしまったら、後に侵害された相続人が侵害者に対して「遺留分減殺請求」をしてトラブルが発生してしまう可能性があるためです。
    遺言するとき、遺留分が認められる子どもや配偶者などの相続人には、最低限遺留分に相当する遺産を分与しておくのが後々の相続人間でのトラブルを防ぐためには良いでしょう。
    また、遺言書には自筆証書遺言や公正証書遺言、秘密証書遺言など種類があります。もっとも確実でトラブル予防の効果が高いのは公正証書遺言なので、できれば公正証書遺言を使って遺言書を書くことをおすすめします。ただし、公証人が作成してくれる公正証書遺言は、法的に明確な内容が記載された遺言であり、保管も確実であることは確かですが、相続人の遺留分を侵害していないかなどの個別具体的な事情に立ち入った適切な遺言を作成してもらえるものではありません。こうした点が不安であれば、具体的な事情を弁護士に相談されることをおすすめします。

  3. (3)遺言書を残すなら専門家に依頼しよう

    遺言書を準備すると相続対策に役立ちますが、有効な遺言書を作成しようとするといくつもの注意点があります。自分一人で不安な場合には、弁護士に相談するのが良いでしょう。弁護士を遺言執行者に立てておくのもひとつの方法です。

7、まとめ

遺産相続をするときには、相続税などの納税資金をためておくことも大切ですが、そのことと同じくらい相続トラブルを避けるための対策が重要です。
自分で戸籍謄本を集めたり、財産関係について詳しく書き残したり、遺言書を作成したりして、残されたご家族が困らないよう対処しましょう。

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