遺産相続コラム
家族が亡くなると、遺産分割協議や預貯金の払い戻し、相続登記、相続税の申告などの相続手続きを行わなければなりません。
しかし、相続手続きに慣れていない方にとっては、どこから手をつけてよいかわからず、自身で対応することが難しい場合もあるでしょう。
そのような場合には、専門家に相続手続きを依頼することによって、負担を軽減することが可能です。
相続手続きを相談・依頼できる専門家には、弁護士、税理士、司法書士など複数の士業が存在します。
本コラムでは、相続手続きを相談する専門家を選ぶ際のポイントについて、ベリーベスト法律事務所 遺産相続専門チームの弁護士が解説します。
まず、相続手続きの代行を依頼した方がよいケースについて解説します。
遺産の評価や分割方法などをめぐって相続人同士でトラブルになっている場合には、当事者同士で話し合っていても解決することができません。
また、相続人と不仲で連絡を取りたくないという場合にも、本人が対応することは難しいでしょう。
このようなケースでは、当事者以外の専門家を間に入れることで、相続手続きを進めやすくなります。
相続が発生した場合には、市区町村役場で戸籍謄本や住民票の取得、金融機関での預貯金の払い戻し、法務局での相続登記、税務署での相続税の申告など、さまざまな手続きが必要になります。
これらの手続きは、基本的には平日の日中しか窓口が開いておらず、土日や祝日に手続きを進めることはできません。
会社などに勤めている方にとっては、平日の日中は勤務する必要があり、相続手続きのために時間を割くことが困難であることも多いでしょう。
このような場合には、専門家に相続手続きを依頼することによって、各種手続きを代行してもらうことができます。
生前に被相続人(亡くなった方)から多額の金銭の贈与を受けた相続人がいる場合、特別受益が問題となります。また、被相続人の介護などで特別の貢献をした相続人がいる場合には、寄与分についても考慮しなければなりません。
さらに、相続財産の総額が相続税の基礎控除額を超える場合には、相続税の申告が必要になります。そして、遺産に不動産が含まれている場合には、相続登記をする必要があるのです。
このように複雑な内容が含まれる相続の場合には、法律や税金や登記に関する専門的な知識が必要となってきます。
相続人では対応が難しい場合には、専門家に依頼するようにしましょう。
ほとんどの方にとって、相続手続きを行うことは初めての経験となります。
たとえ複雑な内容が含まれる相続でなかったとしても、「何から手をつけてよいのかわからない」「どのように手続きを進めればよいのかわからない」という不安を抱かれる方は多いでしょう。
ご自身で相続手続きを進めるのが不安である場合には、専門家に相談することをおすすめします。
以下では、弁護士や司法書士などの各専門家が相続手続きに関してとれる対応や、どのような場合にどの専門家に依頼すればよいのかについて、解説します。
できること | できないこと | 依頼した方がよいケース |
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弁護士は、ほぼすべての相続手続きに対応することが可能です。
たとえば、弁護士であれば、生前の相続対策として遺言書の作成をすることができます。
また、相続開始後には、相続人の調査・相続財産調査・遺産分割協議・遺産分割協議書の作成・遺産分割成立後の相続手続きなど、さまざまな業務に対応することができるのです。
書面の作成にとどまらず、相手方との交渉を行うことも、相続放棄の家庭裁判所への申述、遺産分割調停・審判といった各裁判手続きにおいて代理人として活動することも、弁護士であれば可能です。
特に相続争いが生じている事案に関しては、弁護士以外の専門家では対応することができません。そのため、弁護士への依頼が不可欠となるのです。
また、相続人同士の争いが深刻なケースであっても、弁護士であれば複雑な法律関係を整理し、遺産分割調停や審判を申し立てることによって解決することができます。
できること | できないこと | 依頼した方がよいケース |
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司法書士は、不動産などの登記の専門家です。
したがって、相続財産に不動産が含まれる場合には、相続登記を司法書士に依頼する必要があります。
また、相続人同士で争いがないケースであれば、司法書士でも遺産分割協議書の作成やその後の相続手続きを行うことができます。
相続財産に不動産が含まれており、登記手続きが必要であり、かつ相続人同士で争いがない場合であれば、登記手続きの専門家である司法書士への依頼が適切であることもあるでしょう。
できること | できないこと | 依頼した方がよいケース |
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行政書士は、官公署に提出する書類などを作成する専門家です。
相続手続きに関しては、遺産分割協議書の作成や遺言書の作成などを行うことができます。
司法書士と同様に、行政書士も相続に関して争いのある事案については扱うことができません。
一方で、行政書士は、他の専門家に比べて費用がリーズナブルになっています。
ある程度自分で相続手続きを進めることができるという場合や、相続人同士で争いがなく遺産分割協議書の作成のみで足りるような場合には、行政書士への依頼も考えられるでしょう。
できること | できないこと | 依頼した方がよいケース |
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税理士は、税に関する専門家であり、相続に関しては主に相続税の申告業務を行います。
相続税には、「3000万円+(600万円×相続人の数)」という基礎控除があり、基礎控除を上回る相続財産がある場合には、相続税の申告が必要となります。
そのため、相続税の申告が必要になるケースでは、税理士への依頼が必要になるのです。
また、「生前に相続税対策を行いたい」という場合にも、税理士に相談をすることによって、有効な節税対策についてアドバイスをしてもらうことができます。
できること | できないこと | 依頼した方がよいケース |
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銀行や信託銀行のなかには、相続手続きに関するサポートを行っているところがあります。しかし、銀行員が相続手続きの代行をしてくれるというわけではありません。実際の業務は、弁護士、司法書士、税理士といった外部の専門家に依頼して行っています。
懇意にしている銀行や信託銀行がない限り、ご自身で信頼できる専門家を探した方がよいでしょう。
以下では、相続手続きについて相談や依頼する専門家を選ぶ際に注意すべきポイントを解説します。
相続問題は、個別に事案によって、必要とされる対応が大幅に異なってきます。
そのため、相続問題を適切な解決に導くためには、さまざまな相続問題について対応してきた実績が豊富な専門家を選ぶことが大切です。
対応実績が豊富な専門家であるほど、これまでの経験に基づいてさまざまな解決方法を検討することができ、複雑な事案であってもより適切に解決に導くことができます。
また、専門家とご自身との相性もあるので、実際に来所して話をしてみることも重要です。
原則として、弁護士であれば、相続に関する手続きの大半を扱うことができます。
しかし、相続登記や相続税申告は、弁護士にとっては通常は専門外の分野になります。そのため、これらの手続きが必要になる場合には、別途司法書士や税理士への依頼が必要になってくるのです。
しかし、個別の専門家に依頼するたびに事情を説明しなければならないということは、相続人にとって大きな負担となるでしょう。
したがって、専門家を選ぶ際には、他士業との連携があるかどうかが重要なポイントとなります。
他士業との連携をしている専門家であれば、最初に依頼をした専門家を窓口として、各専門家にアクセスすることができます。そのため、他の専門家を探したり、事情を説明したりするなどの負担を回避することができるのです。
専門家に相続手続きを依頼する際には、費用の問題が不安になるでしょう。
特に初めて相続手続きを依頼する場合には、費用の相場がわからず、「高額な費用を請求されるのではないか」といった不安を抱くのももっともなことです。
そのため、相続手続きを依頼した場合の費用が明朗であるかどうかも、専門家を選ぶ際の重要な問題になります。
具体的には、「ホームページ上に料金が記載されているかどうか」「初回の相談時に明確な見積もりを出してくれるかどうか」などのポイントから判断しましょう。
遺産相続が始まると、どんなに多忙であっても、やらなければならない手続きが多数あります。相続手続きをご自身で行うことに不安がある場合には、専門家に相続手続きを相談・依頼しましょう。
ベリーベストグループには、弁護士だけでなく税理士や司法書士も在籍しているため、各士業が連携しながらワンストップで相続手続きに対応することが可能です。
また、全国展開するベリーベスト法律事務所では、これまでに相続手続きに対応してきた経験に基づいた、豊富な知識とノウハウが共有されています。
ご相談いただく際には、相続手続きにかかる費用についても丁寧にご説明いたします。
遺産相続に関するお悩みは、ベリーベスト法律事務所へ、安心してお任せください。
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。
配偶者である妻には、亡き夫の遺産を相続する権利(=相続権)が民法で認められています。一方で、義両親にも死亡した夫の相続権が認められるケースがある点にご留意ください。
このようなケースは、妻と義両親の間で遺産分割に関する利害調整が求められることもあり、慎重な対応が必要です。
仮に「義両親に一切の遺産を渡したくない」と思っていても、義両親に相続権がある以上は、義両親の要求をすべて拒否することは難しいといえます。
本コラムでは、夫死亡後の遺産相続における義両親の相続権や相続分、姻族関係終了届が相続に影響するのか否かなどのポイントについて、ベリーベスト法律事務所 遺産相続専門チームの弁護士が解説します。
両親が亡くなった後に、実家の土地や建物をどう相続するかは、多くの方にとって悩ましい問題です。
たとえば、思い入れのある実家を残したいと思っても、誰か住むのかで揉めてしまうケースや、相続後の管理に多大な労力を要するケースが少なくありません。
実家の土地や建物が相続財産にある場合は、各選択肢のメリット・デメリットを踏まえて、家族にとってどのような形が望ましいかをよく検討しましょう。
本コラムでは、実家の土地や建物を相続する際の基礎知識や手続きの流れ、注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 遺産相続専門チームの弁護士が解説します。
相続人が死亡するなど、一定の理由により相続権を失った場合は、その子どもが亡くなった相続人に代わって遺産を相続するケースがあります。
これを代襲相続(だいしゅうそうぞく)と呼び、代襲相続により相続することになった方を代襲相続人といいます。また、代襲相続とは、民法で詳細に規定されている遺産相続の制度です。代襲相続は相続割合や法定相続分の計算が変わることもあり、相続争いに発展するケースもあるため、注意しましょう。
本コラムでは、具体的に代襲相続とはどういった制度なのか、代襲相続人となれる範囲や要件、相続割合などについて、代襲相続による注意点を含めて、べリーベスト法律事務所 遺産相続専門チームの弁護士が解説します。
代襲相続は複雑なために理解が難しい点もありますが、基本的なポイントをおさえることから理解を深めていきましょう。