遺産相続コラム

【相続税対策】生前に知っておくべき8つの節税対策と注意点

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更新日:2026年07月15日 公開日:2026年07月15日

【相続税対策】生前に知っておくべき8つの節税対策と注意点

相続財産などが多額に及ぶ場合、遺産相続が生じた際に相続税を国に納付しなければならない可能性があります。そのようなときは、できるだけ納税額を軽減したいと考える方も多くいらっしゃるでしょう。

多額の財産を所有しており、家族にできる限り多くの財産を残したい方は、生前の段階から相続に強い 税理士に相談をして、相続税対策を行うことがおすすめです。

本コラムでは、生前に行うことで節税効果が期待できる相続税対策について、ベリーベスト税理士事務所の税理士が解説します。

1、相続税とは? 課税対象になる財産や節税を検討すべきケース

相続などによって取得した財産額が一定額を超えると相続税が課されます。課税対象財産が基礎控除額を超える場合は、相続税対策を検討しましょう。

  1. (1)相続税が課される財産

    相続税が課される主な財産は、下記のとおりです。

    相続税の課税対象財産
    ① 本来の相続財産(相続税法第2条)
    被相続人が死亡時に所有していた財産は、相続税の課税対象です。

    ② 遺贈または死因贈与によって取得した財産(同法第2条 )
    遺言によって無償で譲りうけた財産(=遺贈)、または被相続人の死亡によって効力が生じる贈与(=死因贈与)によって取得した財産は、相続税の課税対象です。

    ③ みなし相続財産(同法第3条、第4条)
    被相続人の死亡に伴って支払われる死亡保険金や死亡退職金などは、本来の相続財産ではないものの、法律上は相続によって取得したものとみなして、相続税の課税対象とされます。

    ④ 相続開始前の3~7年以内に受けた暦年贈与財産(同法第19条)
    以下の期間において受けた贈与は、贈与税が課されたか否かにかかわらず、相続税の課税対象です。
    • 令和8年(2026年)12月31日までに相続が開始した場合→相続開始前の3年間
    • 令和9年(2027年)1月1日から令和12年(2030年)12月31日までに相続が開始した場合→令和6年(2024年)1月1日から死亡日までの期間
    • 令和13年(2031年)1月1日以降に相続が開始した場合→相続開始前の7年間
    なお、令和5年度の税制改正(令和6年1月1日施行)によって、これらの期間の違いが生じています。

    ⑤ 相続時精算課税が適用される生前贈与財産(同法21条9、21条14から16)
    60歳以上の父母や祖父母などから18歳以上の子どもまたは孫などが受ける贈与について、税務署長への届け出によって相続時精算課税を選択した場合は、その贈与より取得した財産は相続税の課税の対象となります。

    相続税の非課税財産には、主に下記のものがあります(同法第12条)。

    相続税の主な非課税財産
    • 祭祀(さいし)財産(墓地、墓石、仏壇など)
    • 相続や遺贈により取得した財産で、国、地方公共団体、特定の公益法人などに対する寄付財産
    • 被相続人の死亡によって支払われる死亡保険金または損害保険金のうち、「500万円×法定相続人の数」以下の部分
    • 被相続人の死亡によって支払われる死亡退職金のうち、「500万円×法定相続人の数」以下の部分

    また、以下の債務は課税対象財産の総額から控除することができます(同法第13条、第14条)。

    課税対象財産の総額から控除できる債務
    • 被相続人が死亡時に現に存在した確実な債務(借入金や未払い金など)
    • 被相続人の葬式費用
  2. (2)相続税を納付しなければならない人

    主に、法定相続人と遺贈を受けた人が相続税の納付義務を負います。

    被相続人の配偶者は常に相続人になります。配偶者以外の人は以下の順序で相続人となります(民法第887条、第889条、第890条)。

    ・第1順位:被相続人の直系卑属(子ども・孫など)
    ※被相続人の子どもがすでに死亡している場合、または、欠格・廃除によって相続権を失った場合は、その子ども(=被相続人の孫)が代襲相続人となります。また、被相続人のひ孫以降も代襲相続人となることが可能です。

    ・第2順位:被相続人の直系尊属(両親・祖父母など)
    ※被相続人との親等が異なる直系尊属の間では、親等が近い者が優先されます。

    ・第3順位:被相続人の兄弟姉妹
    ※被相続人の兄弟姉妹がすでに死亡している場合、または、欠格・廃除によって相続権を失った場合は、その子ども(=被相続人の甥・姪)が代襲相続人となります。
  3. (3)課税対象財産が基礎控除額を超える場合は、相続税対策を検討すべき(相続税法第27条)

    (2)の方のうち課税対象財産の総額から債務控除を差し引いた額が、以下の基礎控除額を超える場合には、原則的に、相続税の申告及び納税をする義務があります。

    基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数
    ※養子は、実子がいる場合はひとりのみ、実子がいない場合は2人まで法定相続人の数に含めることができます。
    ※相続放棄をした人も、法定相続人の数に含めます。

    課税対象財産の総額が基礎控除額を超える場合、または超える可能性がある場合には、生前対策によって相続税を減額できることがあるため、早めに相続税対策を検討しましょう。

2、生前贈与による4つの相続税対策

生前贈与は、相続税対策として広く活用されています。具体的な対策を見ていきましょう。

  1. (1)暦年贈与

    贈与に対しては原則として贈与税が課されますが、年間110万円までは基礎控除により贈与税が課されません
    この贈与税の基礎控除を利用して、生前に毎年少しずつ財産を贈与すれば、無税または軽い税負担で財産を家族へ移しつつ、相続税の負担を軽減することが可能です。

  2. (2)相続時精算課税を利用した贈与

    60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子ども、または孫が受ける贈与については、税務署長への届け出によって「相続時精算課税」を選択することができます。これは、生前贈与した財産を相続時に相続財産に加算して相続税を計算する制度です。

    相続時精算課税を選択した贈与については、総額2500万円までは贈与税が課税されません。相続発生時には原則として相続税が課されますが、年間110万円までは、贈与財産さらには相続財産へも加算対象外となります。

    相続時精算課税制度を利用すると、早い段階でまとまった財産を子どもや孫へ移転できます。

    参考:「No.4103 相続時精算課税の選択」(国税庁)

  3. (3)住宅取得資金の贈与(租税特別措置法第70条の2)

    ご自身が住むための住宅用家屋の新築・取得・増改築等の対価に充てる金銭を、父母や祖父母などから贈与されることもあるでしょう。この場合、住宅取得資金の贈与に関する非課税特例を利用することが可能です。

    省エネ等住宅の場合は1000万円まで、それ以外の住宅の場合は500万円まで、贈与税が非課税となります。その分の相続財産が減るため、相続税の負担軽減につながります。令和8年(2026年)12月31日まで利用できる制度とされている点に注意が必要です。

    参考:「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」(国税庁)

  4. (4)結婚・子育て資金の一括贈与(租税特別措置法第70条の2の3)

    父母や祖父母などから、18歳以上50歳未満の人が結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合は、1000万円までの贈与が非課税となります。その分の相続財産が減るため、相続税の負担が軽くなります。

    ただし、受贈者の前年の合計所得金額が1000万円を超える場合は、結婚・子育て資金の一括贈与に関する非課税特例を利用できません。また現時点では、令和9年(2027年)3月31日まで利用できる制度とされている点に注意が必要です。

    参考:「No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」(国税庁)

3、不動産を活用した2つの相続税対策

不動産も、相続税対策として活用できる場合があります。不動産を活用した相続税対策も見ていきましょう。

  1. (1)不動産の購入による相続税評価額の減少

    不動産の相続税評価額を決める際、原則的に土地については路線価方式または倍率方式で計算し、建物については固定資産税評価額を用います。
    一般的に建物、及びいわゆる市街地の土地、区分所有のマンション等は、相続税評価額が購入価格より低くなるケースが多いでしょう。そのため、生前に不動産を購入しておくと、相続財産全体の評価額が減り、相続税の負担を軽減できることがあります(ただし、購入時期には注意が必要です)。

    参考:「No.4602 土地家屋の評価」(国税庁)

  2. (2)小規模宅地等の特例(租税特別措置法第69条の4)

    被相続人または被相続人と生計を一にしていた親族(配偶者や子どもなど)が、事業または居住の用に供していた宅地等については、「小規模宅地等の特例」を利用すると、相続税評価額が最大で80%減額されます。
    相続開始時点において、所有する不動産を実際に居住・事業に使用していれば、小規模宅地等の特例により、相続税の負担を大幅に軽減できる可能性があります。

    参考:「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」国税庁)

4、保険金・退職金を活用した2つの相続税対策

生命保険や死亡退職金も、相続税対策として幅広く活用されています。

  1. (1)生命保険への加入

    被相続人の死亡によって支払われる生命保険の死亡保険金のうち 、被相続人がその保険料を負担していた死亡保険については、以下の限度額までは相続税が課されません

    死亡保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数
    ※養子は、実子がいる場合はひとりのみ、実子がいない場合は2人まで法定相続人の数に含めることができます。
    ※相続放棄をした人も、法定相続人の数に含めます。

    生前の段階で生命保険に加入し、手元の現金を一括払いなどで払い込めば、非課税限度額を利用して相続税の課税価格を減らすことが可能です。

    参考:「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」(国税庁)

  2. (2)非課税枠を意識した死亡退職金の設定

    被相続人の死亡によって支払われる死亡退職金のうち死亡後3年以内にその支給が確定したものは、以下の限度額までは相続税が課されません

    死亡退職金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数
    ※養子は、実子がいる場合はひとりのみ、実子がいない場合は2人まで法定相続人の数に含めることができます。
    ※相続放棄をした人も、法定相続人の数に含めます。

    ご自身で会社を経営されている方は、上記の非課税限度額を意識して死亡退職金の額を設定すると、相続税の負担を効果的に軽減できる可能性があります。

    参考:「No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金」(国税庁)

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5、まとめ

多額の財産を所有している方は、生前の段階から相続対策を行うことで、ご家族の相続税負担を軽減できる可能性があります。しっかりと節税対策をしていきたいとお考えの方は、相続税に強い税理士のアドバイスを受けながら、効果的な相続税対策を検討しましょう。

ベリーベストグループには、遺産分割や相続に強い弁護士・税理士が在籍しており、遺産相続のトラブルやお困りごとだけでなく、相続税対策についても連携して対応することが可能です。

相続税対策を検討している方は、ぜひベリーベストまでご相談ください。あなたのお悩みにあわせて、各士業が連携しながら最適な解決方法や節税対策をご提案いたします。

この記事の主な監修者
松本 容子
税理士法人ベリーベスト
税理士  松本 容子
慶應義塾大学商学部で学んだ後、税理士業界へ。法人の税務顧問を行い、税務調査も数多く経験。その知見を活かし、後々お客様が困らない確実な相続税申告に注力する。若くして家族を亡くした経験から、ご遺族の不安や悲しみに心から寄り添うことを大切にしている。
初めての申告でも戸惑わないよう、専門用語を分かりやすく噛み砕いて解説。疑問や不安を一つひとつ解消し、安心して進められるよう誠実なサポートを心がけている。

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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