遺産相続コラム
相続財産などが多額に及ぶ場合、遺産相続が生じた際に相続税を国に納付しなければならない可能性があります。そのようなときは、できるだけ納税額を軽減したいと考える方も多くいらっしゃるでしょう。
多額の財産を所有しており、家族にできる限り多くの財産を残したい方は、生前の段階から相続に強い 税理士に相談をして、相続税対策を行うことがおすすめです。
本コラムでは、生前に行うことで節税効果が期待できる相続税対策について、ベリーベスト税理士事務所の税理士が解説します。
相続などによって取得した財産額が一定額を超えると相続税が課されます。課税対象財産が基礎控除額を超える場合は、相続税対策を検討しましょう。
相続税が課される主な財産は、下記のとおりです。
| 相続税の課税対象財産 |
|---|
| ① 本来の相続財産(相続税法第2条) 被相続人が死亡時に所有していた財産は、相続税の課税対象です。 ② 遺贈または死因贈与によって取得した財産(同法第2条 ) 遺言によって無償で譲りうけた財産(=遺贈)、または被相続人の死亡によって効力が生じる贈与(=死因贈与)によって取得した財産は、相続税の課税対象です。 ③ みなし相続財産(同法第3条、第4条) 被相続人の死亡に伴って支払われる死亡保険金や死亡退職金などは、本来の相続財産ではないものの、法律上は相続によって取得したものとみなして、相続税の課税対象とされます。 ④ 相続開始前の3~7年以内に受けた暦年贈与財産(同法第19条) 以下の期間において受けた贈与は、贈与税が課されたか否かにかかわらず、相続税の課税対象です。
⑤ 相続時精算課税が適用される生前贈与財産(同法21条9、21条14から16) 60歳以上の父母や祖父母などから18歳以上の子どもまたは孫などが受ける贈与について、税務署長への届け出によって相続時精算課税を選択した場合は、その贈与より取得した財産は相続税の課税の対象となります。 |
相続税の非課税財産には、主に下記のものがあります(同法第12条)。
| 相続税の主な非課税財産 |
|---|
|
また、以下の債務は課税対象財産の総額から控除することができます(同法第13条、第14条)。
| 課税対象財産の総額から控除できる債務 |
|---|
|
主に、法定相続人と遺贈を受けた人が相続税の納付義務を負います。
被相続人の配偶者は常に相続人になります。配偶者以外の人は以下の順序で相続人となります(民法第887条、第889条、第890条)。
(2)の方のうち課税対象財産の総額から債務控除を差し引いた額が、以下の基礎控除額を超える場合には、原則的に、相続税の申告及び納税をする義務があります。
課税対象財産の総額が基礎控除額を超える場合、または超える可能性がある場合には、生前対策によって相続税を減額できることがあるため、早めに相続税対策を検討しましょう。
生前贈与は、相続税対策として広く活用されています。具体的な対策を見ていきましょう。
贈与に対しては原則として贈与税が課されますが、年間110万円までは基礎控除により贈与税が課されません。
この贈与税の基礎控除を利用して、生前に毎年少しずつ財産を贈与すれば、無税または軽い税負担で財産を家族へ移しつつ、相続税の負担を軽減することが可能です。
60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子ども、または孫が受ける贈与については、税務署長への届け出によって「相続時精算課税」を選択することができます。これは、生前贈与した財産を相続時に相続財産に加算して相続税を計算する制度です。
相続時精算課税を選択した贈与については、総額2500万円までは贈与税が課税されません。相続発生時には原則として相続税が課されますが、年間110万円までは、贈与財産さらには相続財産へも加算対象外となります。
相続時精算課税制度を利用すると、早い段階でまとまった財産を子どもや孫へ移転できます。
ご自身が住むための住宅用家屋の新築・取得・増改築等の対価に充てる金銭を、父母や祖父母などから贈与されることもあるでしょう。この場合、住宅取得資金の贈与に関する非課税特例を利用することが可能です。
省エネ等住宅の場合は1000万円まで、それ以外の住宅の場合は500万円まで、贈与税が非課税となります。その分の相続財産が減るため、相続税の負担軽減につながります。令和8年(2026年)12月31日まで利用できる制度とされている点に注意が必要です。
父母や祖父母などから、18歳以上50歳未満の人が結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合は、1000万円までの贈与が非課税となります。その分の相続財産が減るため、相続税の負担が軽くなります。
ただし、受贈者の前年の合計所得金額が1000万円を超える場合は、結婚・子育て資金の一括贈与に関する非課税特例を利用できません。また現時点では、令和9年(2027年)3月31日まで利用できる制度とされている点に注意が必要です。
不動産も、相続税対策として活用できる場合があります。不動産を活用した相続税対策も見ていきましょう。
不動産の相続税評価額を決める際、原則的に土地については路線価方式または倍率方式で計算し、建物については固定資産税評価額を用います。
一般的に建物、及びいわゆる市街地の土地、区分所有のマンション等は、相続税評価額が購入価格より低くなるケースが多いでしょう。そのため、生前に不動産を購入しておくと、相続財産全体の評価額が減り、相続税の負担を軽減できることがあります(ただし、購入時期には注意が必要です)。
被相続人または被相続人と生計を一にしていた親族(配偶者や子どもなど)が、事業または居住の用に供していた宅地等については、「小規模宅地等の特例」を利用すると、相続税評価額が最大で80%減額されます。
相続開始時点において、所有する不動産を実際に居住・事業に使用していれば、小規模宅地等の特例により、相続税の負担を大幅に軽減できる可能性があります。
生命保険や死亡退職金も、相続税対策として幅広く活用されています。
被相続人の死亡によって支払われる生命保険の死亡保険金のうち 、被相続人がその保険料を負担していた死亡保険については、以下の限度額までは相続税が課されません。
生前の段階で生命保険に加入し、手元の現金を一括払いなどで払い込めば、非課税限度額を利用して相続税の課税価格を減らすことが可能です。
被相続人の死亡によって支払われる死亡退職金のうち死亡後3年以内にその支給が確定したものは、以下の限度額までは相続税が課されません。
ご自身で会社を経営されている方は、上記の非課税限度額を意識して死亡退職金の額を設定すると、相続税の負担を効果的に軽減できる可能性があります。
多額の財産を所有している方は、生前の段階から相続対策を行うことで、ご家族の相続税負担を軽減できる可能性があります。しっかりと節税対策をしていきたいとお考えの方は、相続税に強い税理士のアドバイスを受けながら、効果的な相続税対策を検討しましょう。
ベリーベストグループには、遺産分割や相続に強い弁護士・税理士が在籍しており、遺産相続のトラブルやお困りごとだけでなく、相続税対策についても連携して対応することが可能です。
相続税対策を検討している方は、ぜひベリーベストまでご相談ください。あなたのお悩みにあわせて、各士業が連携しながら最適な解決方法や節税対策をご提案いたします。
※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。
被相続人(亡くなった方)に配偶者がいる場合、不動産などは、とりあえず配偶者名義にする遺言書を作成したり、または遺産分割協議を行ったりするということは少なくありません。
しかし、被相続人の配偶者が高齢である場合を考えてみましょう。万が一その配偶者が亡くなると、次の相続人がすぐに二次相続をすることになります。二次相続とは、一次相続で相続人になった人が亡くなったときに発生する相続のことです。
法定相続人が子どもの場合、子どもには配偶者特別控除のような大きな控除が認められません。そのため、たとえば相続税上の不動産評価額が高い場合、多額の相続税が発生することがあります。
このような事態を防ぐためにも、あらかじめ二次相続の対策を行っておくことが大切です。
本コラムでは、二次相続対策をするべき理由や二次相続で損をしないための対策方法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
熟年者の結婚活動が盛んになっており、前のパートナーと別れた後に結婚相談所やマッチングアプリなどに登録して、再婚相手を見つけるケースなども増えているようです。
ただし熟年再婚をする場合、当事者のみならず、子どもたちへの「遺産相続」の問題を考えておかなければなりません。
婚姻届を提出すると、相続関係が大きく変わってトラブルにつながる可能性がありますし、再婚相手に連れ子がいたら、養子縁組をするかどうかも考える必要があるでしょう。
本コラムでは、自分が先に亡くなった場合・再婚相手が先に亡くなった場合など、ケース別での相続関係について、ベリーベスト法律事務所 遺産相続専門チームの弁護士が解説します。
遺産を相続したとき、財産総額が一定以上になっていると相続人は「相続税」を申告・納付しなければなりません。
税額が大きくなると手元に残る遺産が減ってしまいますが、相続税は控除などを利用して節税できる可能性があります。
本コラムでは、相続税の基本的な計算方法と控除の制度について、ベリーベスト税理士事務所の税理士が解説します。