遺産相続コラム
遺産相続が始まると、手続きを進めるなかで、原戸籍(改製原戸籍謄本)の提出を求められる場合があります。
多くの方にとって原戸籍はなじみがない言葉であり、「原戸籍とは、どういう書類?」「相続手続きのどの場面で必要?」と、疑問を抱えている方も少なくないでしょう。
本コラムでは、原戸籍と戸籍謄本の違いや手続き方法、取得方法、また、原戸籍が必要な相続手続きについて、ベリーベスト法律事務所 遺産相続専門チームの弁護士が解説します。
「原戸籍」とは、新様式に作り替えられる前の戸籍簿(=家族関係に関する情報が記載された書類)のことです。相続手続きでは、原戸籍の写しである「改製原戸籍謄本」の提出を求められることがあります。
「原戸籍」は、正式名称を「改製原戸籍」といいます。
「げんこせき」と読むのが正しいのですが、「現在の戸籍(=現戸籍)」と区別するために「はらこせき」と呼ばれることもあります。
明治5年(1872年)に戸籍法が施行されて以来、現在に至るまで5回の戸籍簿の様式変更(=戸籍改製)が行われました。様式変更の際には、戸籍簿が新様式に作り替えられますが、その際に作り替えられる前の戸籍簿が「改製原戸籍」です。
直近では、平成に入ってから戸籍のコンピューター化が行われました。
コンピューター化以前の紙の戸籍簿は「平成改製原戸籍」と呼ばれており、現在において「改製原戸籍」と言う場合は、この平成改製原戸籍を指すのが一般的です。
これに対して、それ以前の改製原戸籍は「昭和改製原戸籍」などと呼ばれることがあります。
改製原戸籍の写しは「改製原戸籍謄本」と呼ばれ、本籍地の役所で取得することが可能です。
これに対して、コンピューター式戸籍簿の写しは「戸籍全部事項証明書」であり、「戸籍謄本」と通称されています。
戸籍謄本も本籍地の役所で取得できますが、マイナンバーカード(個人番号カード)を用いてコンビニでも取得できる場合があります。
現行の戸籍法では、改製原戸籍が保存される期間は、改製年度翌年から150年とされています。
しかし、平成22年(2010年)の戸籍法改正以前の保存期間は、改製の種類によって50年・80年・100年のいずれかとされていました。
そのため、改製から現時点までの期間が150年以下であっても、改製の時期によっては改製原戸籍が破棄されている可能性があります。
改製原戸籍が残っているかどうかは、市区町村役場に確認しましょう。
家族が亡くなった際には、相続手続きを行わなければなりません。その際、家族の状況や手続きの種類によっては、戸籍謄本・除籍謄本に加えて改製原戸籍謄本の提出が求められることがあります。
相続手続きは、大まかに以下の流れで進めます。
相続において改製原戸籍謄本の提出を求められるのは、被相続人が生まれてから、亡くなるまでの戸籍の変遷を証明する必要がある場合です。
具体的には、被相続人が戸籍のコンピューター化以前に出生した場合は、改製原戸籍謄本を取り寄せる必要があります。戸籍のコンピューター化の時期は自治体により異なりますので、詳しくは各自治体のホームページなどでご確認ください。
改製原戸籍謄本が必要となる主な相続手続きは、以下のとおりです。
なお、改製原戸籍がすでに廃棄されている場合は、本籍地の市区町村役場に申請すれば廃棄済証明書を発行してもらうことが可能です。廃棄済証明書を提出すれば、本来必要である原戸籍がなくても、相続手続きを進めることができます。
相続手続きにおいて改製原戸籍謄本が必要となった場合には、市区町村役場に対して取得申請を行う必要があります。
改製原戸籍謄本の取得を申請できる人・申請先・申請方法を解説します。
改製原戸籍謄本の取得を申請できるのは、原則として以下のいずれかに該当する人に限られます。
ただし弁護士などは、上記のいずれにも該当しない場合でも、業務上必要である場合に限り、職務上請求によって改製原戸籍謄本を取得することが可能です。
改製原戸籍謄本の申請先は、改製原戸籍が保管されている市区町村役場です。
改製原戸籍は、改製がなされた時点での本籍地の市区町村役場に保管されています。窓口で申請すれば、改製原戸籍謄本の交付を受けることが可能です。手数料は1通当たり750円となっています。
また、改製原戸籍謄本は郵送でも取り寄せることが可能です。郵送による申請先は、市区町村役場のウェブサイトなどで確認しましょう。
郵送による申請を行う場合、改製原戸籍謄本が届くまでには1週間から2週間程度を要するため、余裕をもって申請することをおすすめします。
なお、戸籍謄本とは異なり、改製原戸籍謄本をコンビニで取得することはできません。
相続手続きを進めるに当たっては、改製原戸籍謄本などの見慣れない書類が必要になることもあります。手続きの内容も複雑かつ多岐にわたるため、弁護士のサポートを受けるのがおすすめです。
弁護士は幅広い相続手続きについて、各手続きが滞りなく進むようにご依頼者さまをサポートすることが可能です。
以下に挙げるのは、ベリーベスト法律事務所ができる相続サポートの一例です。
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相続手続きでは、原戸籍(改製原戸籍謄本)の提出を求められることがあります。
書類を用意する際は、市区町村役場に対して取得申請を行い、入手するようにしましょう。なお、改製原戸籍謄本をコンビニで取得することはできないため、余裕をもって申請するようにしてください。
原戸籍を含めて、どのような書類が必要なのか分からない方や、相続手続きを自力で進めるのが不安な方は、経験豊富な弁護士に依頼するのが安心です。
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