遺産相続コラム

遺産分割協議のやり方・流れとは? 遺言書の見極め方から丁寧に解説

2023年08月17日
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遺産分割協議のやり方・流れとは? 遺言書の見極め方から丁寧に解説

身内の方が亡くなり、相続が発生したものの、どのような方法で遺産を分ければよいのかわからないという方も多いと思います。遺産相続は、頻繁に経験することではありませんので、手続きを熟知しているという方はほとんどいないでしょう。

複数の相続人がいるケースにおいて遺産を分けるときは、相続人による遺産分割協議を行うことになります。ただし、遺産分割協議をする前提として、事前にさまざまな調査を行わなければなりません。

本コラムでは、初めて遺産分割を行うことになった方でも理解できるように、遺産分割協議の流れをベリーベスト法律事務所の弁護士がわかりやすく解説します。

1、遺言書を確認してから遺産分割協議をするか決める

相続人による遺産分割協議が必要かどうかは、亡くなった方(被相続人)による遺言書があるかどうかによって異なってきます。本章では、具体的なケースごとに遺産分割協議の要否を説明します。

  1. (1)被相続人が遺言書を残していた

    被相続人が遺言書を残していた場合には、相続人による遺産分割協議よりも遺言書の内容が優先されますので、基本的には、遺産分割協議をする必要はありません。

    ただし、遺言書があったとしても、遺言書が無効となりうる内容だったケースや、すべての遺産が網羅されていなかったケースでは、遺産分割協議が必要になります。

  2. (2)そもそも遺言書がない

    被相続人が遺言書を残していない場合には、相続人による遺産分割協議が必要になります。

    遺言書は、自宅以外にも法務局や公証役場などで保管されているケースもありますので、しっかりと調査してから遺言書の有無を判断するようにしましょう。

  3. (3)生前に口頭で「財産をあげる」と言われていた

    生前に被相続人から口頭で「すべての財産をあげる」と言われていたとしても、それは遺言にはあたりません。遺言は、書面で作成しなければなりませんので、口頭での遺言は無効となるためです。

    ただし、口頭で告げられた「財産をあげる」という約束が、遺言ではなく生前贈与と解釈する余地もあります。しかし、きちんと贈与契約書などの書面を作成していなければ、口頭での贈与を証明することができません。つまり、贈与契約に基づいて財産をもらうことは難しいと考えられます。

    したがって、このケースでは、相続人による遺産分割協議が必要になります。

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2、遺産分割協議の準備1│相続人調査をする

遺産分割協議の準備のひとつ目は、相続人調査です。

  1. (1)相続人調査とは

    相続人調査とは、相続人にあたる人が誰かを調査して、遺産分割協議に参加する相続人を確定させることをいいます。

    遺産分割協議は、すべての相続人の合意がなければ有効に成立させることはできません。相続人のうち一人でも欠いてしまうと、遺産分割協議はすべて無効になってしまいます。また、相続税の申告の際には、相続人の人数に応じて、相続税の基礎控除や生命保険の基礎控除がありますので、相続人の人数を誤ると納めなくてもよい税金を納めることになるリスクもあります。

    そのため、遺産分割の前提として、正確な相続人調査が必要になるのです。

  2. (2)相続人調査の手順

    相続財産調査は、以下のような手順で進めていきます。

    ① 戸籍の取得
    相続人調査は、被相続人の出生から死亡時までのすべての戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本を確認する方法で行います。

    被相続人の死亡時の戸籍謄本は、被相続人の本籍地の市区町村役場で取得できますので、まずは、それを取得します。結婚、離婚、転籍などを繰り返している場合には、1か所ではすべての戸籍謄本などを取得できません。したがって、手元の戸籍謄本の記載からひとつ前の本籍地を確認し、そこに除籍謄本または改正原戸籍謄本などの請求を行っていくことになります。

    被相続人の方によっては、出生から死亡時までの戸籍謄本などを集めるために、複数の市区町村役場へ何度か請求を繰り返すことが必要となるケースがあるでしょう。

    ② 相続関係図の作成
    出生から死亡時までの戸籍謄本からすべての相続人が判明した場合には、相続人が誰であるかをわかりやすくまとめた「相続関係図」を作成します。
    相続関係図は、登記所(法務局)での法定相続情報証明制度のうち、法定相続情報一覧図という相続関係を一覧にした図が参考になるでしょう。

    このような相続人調査は、戸籍収集の煩雑さから一般の方では正確に行うことが難しいこともあります。そのため、相続関連の知見が豊富な弁護士に依頼したほうが迅速かつ正確に相続人調査と相続関係図の作成までを終えられるでしょう。

    相続手続きが複数ある場合には、法定相続情報証明制度を利用することも検討ください。
    法定相続情報証明制度は、登記所(法務局)に戸除籍謄本等の束を提出し、併せて法定相続情報一覧図も提出すれば、登記官がその一覧図に認証文を付した写しを無料で交付します。その後の相続手続きは、法定相続情報一覧図の写しを利用いただくことで、戸除籍謄本等の束を何度も出し直す必要がなくなります。

3、遺産分割協議の準備2│相続財産調査をする

遺産分割協議の準備のふたつ目は、相続財産調査です。

  1. (1)相続財産調査とは

    相続財産調査とは、被相続人が生前どのような財産を持っていたのかを調査することをいいます。

    相続財産調査に漏れがあると、漏れた財産を対象に再度遺産分割協議を行わなければなりません。また、相続税の申告漏れによるペナルティーを受けるリスクも生じます。そのため、相続人調査と同様に相続財産調査も正確に行うことが重要です。

    なお、相続財産調査で調査すべき財産の代表的なものとしては、以下のものが挙げられます。

    財産の種類 調査方法
    現金 自宅の金庫など
    預貯金 金融機関への照会
    不動産
    • 市区町村役場での名寄帳、固定資産評価証明書の取得
    • 法務局での登記事項証明書の取得
    株式 証券会社または証券保管振替機構への照会
    保険 保険会社への照会
    借金
    • ローン契約書や利用明細書を探す
    • 信用情報機関への個人信用情報の開示請求
  2. (2)相続財産調査の手順

    相続財産調査は、以下のような手順で進めていきます。

    ① 対象財産ごとの調査
    相続財産調査は、対象財産ごとに調査していく必要があります。

    ● 預貯金
    預貯金は、自宅にある被相続人の通帳などから取引のあった金融機関を把握して、当該金融機関に死亡時の残高証明書や取引履歴などの請求を行います。

    取引のあった金融機関がわからないという場合には、被相続人の生活圏内にある金融機関すべてに照会をかければ預貯金口座の有無が判明します

    ● 不動産
    被相続人が所有している不動産は、市区町村役場から送られてくる固定資産税納付通知書を見れば把握することができます。手元に固定資産税納付通知書がないという場合には、市区町村役場の窓口で名寄帳を取得しましょう。ただし、名寄帳は、市区町村ごとに作成されていますので、他の市区町村にも不動産がある場合には、その市区町村からも名寄帳を取得する必要があります。

    固定資産税納付通知書および名寄帳によって不動産を把握したら、法務局で登記事項証明書を取得します。登記事項証明書を取得することで、以下の情報が得られます。

    • 不動産の名義が被相続人か
    • 所有形態が共有か、単独所有か
    • 抵当権設定の有無

    ● 有価証券
    有価証券は、取引のあった証券会社に照会をすれば、保有銘柄などを明らかにすることができます。

    取引のあった証券会社がわからないという場合には、証券保管振替機構に開示請求を行えば取引のある証券会社を把握することができます。

    ● 借金
    借金も相続財産に含まれますので、相続放棄をするかどうかの判断のためにも正確な調査が求められます。

    借金は、債権者からの請求書、督促状などの郵便物から把握することができますので、まずは自宅内の郵便物を調べます。また、手元に預貯金通帳があれば返済履歴などから借金の存在が明らかになることもあります。

    これらの手がかりがない場合には、信用情報機関に個人信用情報の開示請求をすることで借金の有無が判明します。ただし、信用情報機関への照会は、金融機関、貸金業者、クレジットカード会社などからの借り入れが明らかになるだけで、個人からの借り入れはわかりませんので注意が必要です。

    ② 遺産目録の作成
    相続財産調査が終わったら、その内容をまとめた遺産目録を作成します。遺産目録を作成する場合には、作成の元になった資料(登記事項証明書、残高証明書など)に基づき、正確に記載することが大切です。遺産目録に誤りがあった場合には、遺産分割協議のやり直しが必要になることもありますので注意しましょう。

4、遺産分割協議の進め方と流れ

遺言書の有無の確認、相続人調査、相続財産調査が終わったら、遺産分割協議を行います。

  1. (1)遺産分割協議とは

    遺産分割協議とは、被相続人の遺産をどのように分けるのかを決める、相続人による話し合いのことをいいます。相続人には、法律上法定相続分がありますが、遺産分割協議では、すべての相続人の合意があれば、法定相続分とは異なる割合で遺産を分けることも可能です。

    なお、相続人の中に行方不明者や認知症の方がいる場合には、不在者財産管理人や成年後見人の選任という特別な手続きが必要になるケースもありますので注意が必要です。

  2. (2)遺産分割協議の手順

    遺産分割協議は、以下のような手順で進めていきます。

    ① 協議の期限を決め、スケジュールをたてる
    遺産分割協議自体には期限はありませんが、相続税の申告は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内に行わなければなりません。相続財産調査の結果から、相続税の申告が必要になりそうな方は、10か月以内に遺産分割協議を終えることができるようにスケジュールをたてましょう。

    ② 相続人への連絡
    遺産分割協議のスケジュールが決まったら、相続人全員に遺産分割協議への参加を求める連絡を行います。連絡先がわかっている相続人に対しては、電話やメールなど適宜の方法で連絡をすればよいですが、連絡先がわからない相続人がいる場合には、戸籍の附票を取得して住所を調べる必要があります

    ③ 遺産目録をもとに話し合う
    相続人全員に連絡がついたら、作成した遺産目録をもとに遺産の分割方法について話し合いを行います。遺産分割協議というと全員が一堂に会して話し合いをすることをイメージする方が多いですが、必ずしもその必要はありません。最終的に全員の合意が得られればよいため、電話、メール、手紙など適宜の方法で話し合いをすれば大丈夫です。

    ④ 遺産分割協議書の作成
    相続人全員から合意が得られたら、その内容を書面にまとめて遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には、相続人全員の署名および実印での押印が必要になります。また、今後、相続手続きを進めていくにあたっては、印鑑証明書も必要になります。

5、遺産分割協議を弁護士に任せると安心な理由

遺産分割協議をする際には弁護士に依頼することをおすすめします。

  1. (1)正確な相続人調査・相続財産調査が可能

    弁護士に遺産分割協議を任せれば、その前提となる相続人調査や相続財産調査も弁護士に任せることができます。相続人調査や相続財産調査に漏れがあると、遺産分割協議が無効になるおそれもありますので、正確な調査を行うためにも、弁護士に依頼することをおすすめします。

  2. (2)相続人同士のトラブルを解決できる

    遺産分割協議では、相続人による話し合いで遺産の分け方を決めていきます。遺産の内容や相続人同士の関係性などによっては、相続人間で意見の衝突が生じて、トラブルになるおそれもあります。特に、生前に多額の贈与を受けていた相続人がいる場合や被相続人の介護などに尽力した相続人がいる場合には、特別受益や寄与分をめぐってトラブルになる可能性が高いです。

    このようなトラブルを解決するには、相続に関する知識と経験が不可欠となりますので、実績豊富な弁護士が多数所属するベリーベスト法律事務所までご相談ください。

  3. (3)相続税の申告や相続登記が必要になるケースもある

    遺産分割協議が成立した後は、相続税の申告や相続登記などの手続きが必要になることがあります。相続税の申告であれば税理士への依頼、相続登記であれば司法書士への依頼が欠かせず、それぞれに対応してもらえる専門家を探す必要が出てきます。

    ベリーベスト法律事務所では、弁護士を窓口とし、ベリーベストグループに所属する税理士や司法書士などへ依頼ができるワンストップサービスの提供が可能です。相続手続きの負担を少しでも軽減するためにも、ベリーベスト法律事務所までご相談ください。

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6、まとめ

相続が発生すると遺言書の有無の確認、相続人調査、相続財産調査、遺産分割協議という流れで進んでいきます。それぞれの手続きでは、専門的な知識や経験が必要になることは少なくありません。

そもそも遺言書が適切なものなのかという判断自体が難しい場合もあるでしょう。そのうえで、不備なく遺産分割協議を成立させるためには専門家である弁護士のサポートを得たほうが心強いのではないでしょうか。

特に相続では、思わぬ理由から相続争いに発展してしまうケースは少なくありません。円滑な遺産分割協議のためにも、まずは、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒 106-0032 東京都港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話] 03-6234-1585
[ご相談窓口] 0120-152-063

※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。

URL
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※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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