遺産相続コラム

相続手続きを自分で行うために必要なことは? 手順や注意点を解説

  • 遺産を受け取る方
  • 相続手続き
  • 自分で
更新日:2025年04月16日 公開日:2023年08月08日

相続手続きを自分で行うために必要なことは? 手順や注意点を解説

ご家族が亡くなった場合、相続手続きに関する対応が必要になります。

相続手続きは、専門的知識を必要とするため、相続人が自分で対応するのは非常に困難です。特に、今回初めて相続手続きをするという方は、どのように相続手続きを進めたら良いのかわからず、戸惑ってしまうのではないでしょうか。

相続手続きの全体像を把握したうえで、「自分で対応するのは難しい」と判断した場合には、弁護士へのご相談をおすすめいたします。本コラムでは、相続手続きを自分で行う際の手順や、自分で相続手続きを進めるのが難しいケースやリスク等について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、相続手続きの進め方・手順・やるべきこと

相続手続きは、決められた期限内にさまざまな対応を順番に行う必要があり、初めて手続きをされる方にとっては非常に大変な手続きだといえるでしょう。

大まかにいえば、以下のような流れで手続きを行う必要があります。

<死亡の事実を知った日から7日以内>
① 死亡届の提出
被相続人(亡くなった方)の死亡地、本籍地または届出人の所在地の市区町村役場へ提出します。提出する際には、死亡診断書または死体検案書の添付が必要です。

② 火葬許可証の取得
市区町村役場に死亡届を提出した際に交付される火葬許可証を、火葬を行う管理事務所に提出し、火葬後は、当該管理事務所から埋葬許可証を受領(じゅりょう)します。

<死亡の事実を知った日から1~2か月前後>
③ 遺言書の有無を確認
被相続人の遺品を探し、遺言書保管所に遺言書が保管されているか、公証役場の遺言検索などを利用するなどして、遺言書の有無を確認します。

④ 相続人の調査
戸籍資料(出生から亡くなるまで)を取り寄せて、相続人を確定させます。

<死亡の事実を知った日から3か月以内>
⑤ 相続放棄または限定承認の申述
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、必要書類を提出しなければなりません。相続放棄や限定承認に必要となる申述書等は、裁判所のウェブサイトからダウンロードできます。
(参考:「相続の放棄の申述」(裁判所)

<死亡の事実を知った日の翌日から4か月以内>
⑥ 所得税の申告および納付(準確定申告)
被相続人の死亡当時の納税地の税務署長に対して、準確定申告書等を提出して所得税の申告を行い、納付も済ませます。
(参考:「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」(国税庁)

<死亡の事実を知った日から10か月以内>
⑦ 相続税の申告と納付
被相続人の死亡当時の納税地の税務署長に対して、申告期限までに相続税申告書等を提出して相続税の申告を行い納付も済ませます。
なお、相続税の申告および納付までに、相続人全員で話し合い、遺産の分け方を決める遺産分割を完了しておくことが望ましいです。
(参考:「[手続名]相続税の申告手続」(国税庁)

<死亡の事実を知ったときから1年以内>
⑧ 遺留分侵害額請求
兄弟姉妹以外の相続人が遺留分を侵害された場合は、遺産を多く取得した者に対して遺留分侵害額請求を行うことが可能です。

<遺産分割の終了後早めに>
⑨ 相続財産の名義変更
遺産分割の内容に従い、不動産、自動車、ゴルフ会員権、および有価証券等の名義変更を行います。

相続手続きの詳しい流れについては、以下のページを併せてご参照ください。

参考:遺産相続の流れ

2、相続の際に名義変更等が必要な財産の例

相続手続きを進めるにあたり、一部の相続財産は名義変更等の手続きが必要となります。遺産分割の内容に従い、漏れなく手続きを行わなければなりません。

名義変更等の手続きが必要な相続財産としては、以下の例が挙げられます。

① 不動産
不動産の所在地を管轄する法務局において、所有権移転登記(相続登記)の手続きを行います。

② 自動車
新たに自動車を使用する住所を管轄する運輸支局において、名義変更の手続きを行います。

③ ゴルフ会員権
ゴルフ場の運営会社の規約等に従って、名義変更を行います。

④ 預貯金
銀行で名義変更を行います。

⑤ 有価証券
証券会社において名義変更を行います。

3、不動産の相続登記に関する注意点

相続財産に不動産が含まれている場合には、遺産分割の完了後に相続登記の手続きを行っておきましょう。
また、現在は、相続登記手続きを行うことは義務ではありませんが、令和6年4月1日以降は、土地や建物についての相続登記が義務化される点に注意してください

  1. (1)令和6年4月1日以降、相続登記は義務化される

    令和6年4月1日から相続登記が義務化されることになりました。

    所有者不明土地の問題を解消するため、不動産(土地および建物)を相続によって取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが法律上の義務になりました。なお、正当な理由がないのに相続登記をしない場合には、10万円以下の過料に科せられるおそれがあります。

  2. (2)相続登記の手続き

    相続登記の手続きは、不動産の所在地を管轄する法務局において行います。相続登記手続きに必要な主な書類は、以下のとおりです。

    【相続手続きに必要な書類】
    • ① 登記申請書
    • ② 被相続人の戸籍謄本および除籍謄本
    • ③ 被相続人の本籍地が記載された住民票除票又は戸籍の附票
    • ④ 法定相続人の戸籍簿抄本
    • ⑤ 相続関係説明図
    • ⑥ 不動産を相続する人の住民票
    • ⑦ 遺産分割協議書
    • ⑧ 固定資産税納税通知書等

    ただし、令和6年4月以降は、以下の2点を登記官に申し出れば、相続登記の申請義務を満たすことができます。

    • ① 登記簿上の所有者について相続が開始したこと
    • ② 自らがその相続人であること

4、相続手続きを自分で進めることが難しいケースとリスク

相続手続きを相続人が自分で行うのは非常に大変であるうえ、状況によっては大きなリスクを負うことになってしまいます。
例えば、以下に挙げるケースでは、相続手続きを自分で行うのではなく、弁護士に依頼することをおすすめいたします。

  1. (1)相続人同士の主張が対立しているケース|深刻化・長期化のリスク大

    相続人同士が遺産を巡って激しく対立している場合、感情的な対立が深刻化し、話し合いがまとまらない可能性が高いため、当事者だけで問題を解決することは困難になります。

    相続人同士の対立が深刻化すると、相続手続きが長期化してしまいます。このような状況にならないためには、早めに弁護士へご相談いただいた方がいいといえます。

  2. (2)日中仕事をしているため時間が取りにくいケース|期限に遅れるリスク大

    相続手続きにおける対応には膨大な労力を要するため、日中仕事をしていて時間を確保するのが難しい方にとっては、手続きを自力で行うのは困難です。

    相続手続きへの対応が遅れると、相続放棄、所得税の準確定申告、相続税申告等、期限のある手続きを適切な時期に完了することができず、不測の損害を被ってしまうことになりかねません。スケジュールに沿って相続手続きをこなしていくためには、弁護士にサポートしてもらうことを検討してください。

  3. (3)名義変更等を要する遺産があるケース|手続き漏れのリスク大

    不動産、自動車、ゴルフ会員権、預貯金、および有価証券等、名義変更その他の手続きを要する相続財産が含まれている場合には、それぞれの手続きを漏れなく行わなければなりません。

    しかし、相続人が自分で対応しようとした場合、相続財産の把握漏れや手続きの調査漏れ等が原因で、名義変更等が行われずに放置される相続財産が生じる可能性があります。
    全ての相続手続きを漏れなく、確実に行うためには、弁護士へご依頼いただくのが安心です

5、相続手続きを弁護士に依頼するメリット

相続手続きを弁護士に依頼することには、以下のような多くのメリットが挙げられます。

① 適切な遺産分割の方法についてアドバイスを受けられる
ご要望やご事情に応じて、どのような分割方法が望ましいか、法的な観点からアドバイスを受けられます。

② 相続財産および相続人の調査を代行してもらえる
遺産分割の前提となる相続財産および相続人の調査を、全面的に代行してもらうことが可能になります。

③ 相続人間のトラブルの調整を依頼できる
相続を巡って相続人同士の間で激しい対立が発生している場合でも、協議、調停、審判、または訴訟等の手続きを通じて、迅速かつ適正な方法による解決を図ることができます。

また、ベリーベストは、グループ内に税理士や司法書士等の隣接士業が在籍しているため、あらゆる相続手続きをご相談いただけます
相続手続きを漏れなく適切に対応したいとお考えの方は、ぜひ弁護士へのご依頼をご検討ください。

遺産相続のお悩みならベリーベストへ
弁護士・税理士への初回相談
60無料
無料通話でお問い合わせ
0120-152-063
電話受付 平日9:30~21:00/土日祝 9:30~18:00
メールでお問い合わせ

6、まとめ

相続手続きを自分で行おうとする方もいらっしゃいますが、本コラム内で解説したように、多岐にわたる手続きへの対応は非常に大変です。
手続きの漏れが発生したり、相続人同士のトラブルが深刻化したりといったリスクも考えられるため、相続手続きが発生した場合には、弁護士へのご依頼をおすすめいたします。

ベリーベスト法律事務所では、遺産相続に関する法律相談を随時受け付けております。相続手続きへの対応にお悩みの方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒 106-0032 東京都港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話] 03-6234-1585
[ご相談窓口] 0120-152-063

※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。

URL
https://www.vbest.jp

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

同じカテゴリのコラム(遺産を受け取る方)

  • 2025年09月29日
    • 遺産を受け取る方
    • 除籍謄本とは
    「除籍謄本」とは|戸籍謄本との違いや取得の際の注意点を解説

    除籍謄本とは、戸籍に記載されていたすべての人が除かれた後の戸籍の写しです。
    日常生活ではほとんど利用することのない書類ですが、相続手続きにおいては法定相続人を確定するために重要な書類です。特に、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本を収集する際には、除籍謄本の取得が必要になります。
    本記事では、除籍謄本とは何か、戸籍謄本や改製原戸籍との違い、取得方法、注意点について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

  • 2025年09月17日
    • 遺産を受け取る方
    • 遺産相続
    • 寄与分
    • 相場
    寄与分に相場はある? 計算や請求の手順、遺産相続の注意点を解説

    亡くなった家族の事業を手伝っていた場合や、介護を献身的に行っていた場合などには「寄与分」が認められ、相続分を増やせる可能性があります。
    寄与分を主張したいときは、適切な手続きを踏み、場合によっては家庭裁判所での審判を行います。適正額の寄与分を受けるためには、弁護士に相談することも検討しましょう。
    本記事では、寄与分と特別寄与料の違いや寄与分の相場と計算方法、寄与分を主張する際の手続きや注意点などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

  • 2025年08月07日
    • 遺産を受け取る方
    • 特別代理人
    特別代理人とは? 選任が必要なケースと手続き方法を弁護士が解説

    親子がともに相続人となる場合など、遺産分割に当たって特別代理人の選任が必要となるケースがあります。
    特別代理人の選任が必要かどうか分からない場合や、選任申し立ての手続きについて不安な点がある場合は、弁護士のアドバイスを受けましょう。
    本記事では特別代理人について、遺産相続の場面における役割や必要となるケース、選任申し立ての手続きなどをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

PAGE TOP