遺産相続コラム

遺留分の計算方法は? 遺留分侵害額請求の流れや注意点を弁護士が解説

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更新日:2026年01月07日 公開日:2026年01月07日

遺留分の計算方法は? 遺留分侵害額請求の流れや注意点を弁護士が解説

生前贈与や遺言書によってほかの相続人が優遇された結果、自分の相続分が少なくなってしまい、対処をお考えの方もいるでしょう。その場合、財産を多く取得した相続人に対し、遺留分を請求できる可能性があります。

遺留分を請求するには、請求できる金額を事前に計算しておくべきです。しかし、遺留分額の計算を正確に行うには手間がかかるため、弁護士への相談も検討しましょう。

本記事では、遺留分額の計算方法や、遺留分が侵害された場合の対処法などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、遺留分とは?

「遺留分」とは、被相続人の財産の中で、法律上その取得が一定の相続人に留保されていて、被相続人による自由な処分に対し制限が加えられている持分的利益のことを言います。

遺留分の制度の目的は、被相続人死亡後の近親者の生活保障や、遺産の維持・形成への貢献を考慮した遺産の再分配、共同相続人間の公平の確保等にあります。

  1. (1)遺留分が認められる人

    遺留分が認められるのは、被相続人の配偶者と直系卑属(子ども等)、直系尊属(父母等)です。兄弟姉妹またはその代襲相続人には認められません(民法第1042条第1項)。
    具体的には、以下の人にのみ遺留分が認められます。

    遺留分権利者

    ① 被相続人(=亡くなった人)の配偶者

    ② 被相続人の直系卑属(子、孫など)
    被相続人の子が死亡・相続欠格・廃除によって相続権を失った場合は、さらにその子(=被相続人の孫)が代襲相続人となります。ひ孫以降による再代襲相続も認められます。

    ③ 被相続人の直系尊属(父母、祖父母など)
    ②の相続人がいない場合に限り、相続人となります。親等が異なる直系尊属がいる場合は、もっとも親等の近い人だけが相続人となります。たとえば、被相続人の父(1親等)と祖父(2親等)が存命の場合、父のみが相続人になり、遺留分を認められます。
  2. (2)遺留分の割合

    遺留分の割合は、直系尊属のみが相続人である場合は法定相続分の3分の1、それ以外の場合は法定相続分の2分の1とされています(民法第1042条第1項)。

    相続人の構成に応じた遺留分の割合は、以下のとおりです。


    【遺留分の割合】
    相続人の構成 配偶者 子(またはその代襲相続人) 直系尊属 兄弟姉妹(またはその代襲相続人)
    配偶者のみ 2分の1
    配偶者と子(またはその代襲相続人) 4分の1 4分の1
    配偶者と直系尊属(父母、祖父母など) 3分の1 6分の1
    配偶者と兄弟姉妹(またはその代襲相続人)※ 2分の1 なし
    子(またはその代襲相続人)のみ 2分の1
    直系尊属のみ 3分の1
    兄弟姉妹(またはその代襲相続人)のみ なし

    なお、同順位の相続人が複数いる場合は、上記の遺留分割合を均等に分け合います。たとえば、相続人が配偶者と子であり、子が2人いる場合には、子の遺留分割合は各8分の1となります。

    代襲相続人の遺留分割合は、被代襲者(=死亡・相続欠格・廃除によって相続権を失った人)と同じです。
    代襲相続人が複数いる場合は、被代襲者の遺留分割合を均等に分け合います。たとえば、遺留分割合が8分の1である子が亡くなっており、その子(=被相続人の孫)2人が代襲相続人となった場合には、孫の遺留分割合は各16分の1となります。

  3. (3)遺留分の基礎となる財産

    遺留分額は、(2)で紹介した遺留分の割合と、基礎となる財産の価額によって以下のように算出します。

    遺留分額=基礎となる財産の価額×遺留分の割合

    遺留分の基礎となる財産の価額は、以下の計算式で確認します。

    基礎となる財産の価額=相続財産の総額+加算されるもの-控除されるもの

    加算されるもの、控除されるものは以下のとおりです(民法第1043条~第1045条)。

    ① 加算されるもの
    • (a)被相続人が死亡した時点で所有していた財産(=相続財産)
    • (b)被相続人が死亡する前の10年間に法定相続人が受けた贈与のうち、婚姻もしくは養子縁組のため、または生計の資本として受けたもの
      ※ただし、10年より前に行った贈与であっても、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知っていた場合には加算する
    • (c)被相続人が死亡する前の1年間に法定相続人以外の者が受けた贈与
      ※ただし、1年より前に行った贈与であっても、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知っていた場合には加算する

    ② 控除されるもの
    • (a)被相続人が死亡した時点で負担していた債務(借金等)
    • (b)①(b)(c)の贈与が負担付贈与、つまり何らかの対価や義務を伴った贈与である場合は、その負担の価額
      ※不相当な対価をもってした有償行為(売買など)は、被相続人とその相手方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものに限り、その対価を負担の価額とする負担付贈与とみなされることがあります。

    遺留分の基礎となる財産やその価値(評価額)を正確に把握するには、大変な手間がかかります。遺留分侵害額請求をするために遺留分の基礎となる財産を算出したい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

2、誰が相続する? ケース別遺留分の計算方法

相続などによって取得した財産が遺留分額を下回る場合は、財産を多く取得した人に対して遺留分侵害額請求を行い、金銭の支払いを受けることができます(民法第1046条第1項)。

遺留分侵害額請求を行う際には、まず自分の遺留分額を計算しなければなりません。遺留分額の計算式は以下のとおりです。

遺留分額=遺留分の基礎となる財産の価額×遺留分割合

仮に遺留分の基礎となる財産の価額が3000万円だとすると、相続人の構成に応じた遺留分額は以下のように計算されます。ご自身がどのケースに当てはまるか、確認しましょう。

① 相続人が配偶者のみ
配偶者:3000万円×2分の1=1500万円

② 相続人が配偶者と子
配偶者:3000万円×4分の1=750万円
子:3000万円×4分の1=750万円

③ 相続人が配偶者と父母
配偶者:3000万円×3分の1=1000万円
父母:3000万円×6分の1=500万円

④ 相続人が配偶者と兄弟姉妹
配偶者:3000万円×2分の1=1500万円
兄弟姉妹:なし(0円)

⑤ 相続人が子のみ
子:3000万円×2分の1=1500万円

⑥ 相続人が父母のみ
父母:3000万円×3分の1=1000万円

⑦ 相続人が兄弟姉妹のみ
兄弟姉妹:なし(0円)

3、遺留分が侵害された場合の対処の流れと期間の目安

ご自身の相続分を確認し、遺留分が侵害されていると思われる場合は、以下の流れで対応しましょう。

  1. (1)遺留分侵害額を計算する

    まずは、請求する遺留分侵害額を計算しましょう。遺留分侵害額の計算式は、以下のとおりです。

    【遺留分侵害額の計算式】
    遺留分額=遺留分の基礎となる財産の価額×遺留分割合
    遺留分侵害額=遺留分額-控除すべき額+加算すべき額


    【控除すべき額】
    • 遺留分権利者が被相続人から受けた遺贈
    • 遺留分権利者が被相続人から受けた贈与のうち、婚姻もしくは養子縁組のため、または生計の資本として受けたもの(※贈与の時期を問わない)
    • 遺留分権利者の相続分の額

    【加算すべき額】
    • 被相続人が死亡した時点で負担していた債務のうち、相続分に応じて遺留分権利者が承継するもの

    おひとりで遺留分侵害額を確認するのは大変手間がかかります。遺留分侵害額を正確に計算するために、弁護士への相談をされるとよいでしょう。

    正確に遺留分侵害額の計算をするには、相続財産や生前贈与、被相続人が負っていた債務などを調査しなければなりません。調査には通常、1~2か月程度を要します。

    参考:法定相続分・遺留分 計算ツール

  2. (2)誰に対して遺留分侵害額請求をするのか確認する

    遺留分侵害額は、以下の順位に従った上位者から順に負担します(民法第1047条第1項)。

    • ① 遺言によって相続した人及び遺贈を受けた人
    • ② 死因贈与を受けた人
    • ③ 生前贈与を受けた人

    • ※生前贈与が複数ある場合は、あとに生前贈与を受けた人が先に負担します。
    • ※同時に行われた複数の生前贈与がある場合は、その価額により按分して負担します。

    なお、遺留分侵害額の請求先を間違えると、遺留分侵害額請求が認められません。上記のルールに従って正確に請求先を見極めましょう。請求先について、少しでも不安がある場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

  3. (3)内容証明郵便を送付し、相手方と交渉する

    請求先を確認したら、内容証明郵便で請求書を送付しましょう。その際、郵便局のサービスのひとつである配達証明を付けることで、相手方に郵便物が届いた日付とその内容を記録することができます。

    内容証明郵便に対して返信があったら、相手方と遺留分侵害額の精算に関する交渉を行いましょう。合意が得られたら、その内容をまとめた合意書を作成して、金銭の支払いを受けます。
    交渉期間はケース・バイ・ケースです。スムーズに進めば1か月程度で完了することもありますが、難航して数か月程度かかることもあります。

    なお、相手方が内容証明郵便に対して必ずしも返信をくれるとは限りません。返事がなかなか来ない場合は、次項で紹介する請求調停を行いましょう。

  4. (4)遺留分侵害額の請求調停を申し立てる

    相手方との交渉がまとまらないときや、請求に対して反応がない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てましょう。調停では、中立である調停委員の仲介により、遺留分侵害額の精算について話し合います。

    交渉と同じく、調停に要する期間も事案によって異なります。早くとも3~4か月程度、難航すれば1年以上かかります。

  5. (5)調停が不成立となった場合は、訴訟の提起を検討する

    合意が得られず調停が不成立となった場合は、裁判所に訴訟を提起することも検討しましょう。訴訟の判決によって遺留分侵害額の支払いが命じられれば、強制執行の申し立てが可能となります。

    交渉や調停と同様に、訴訟にかかる期間も事案によってさまざまです。早期に和解が成立すれば数か月程度で終わりますが、論点が多い場合や控訴・上告がなされた場合などには数年に及ぶケースもあります。

    なお、調停や訴訟に発展する場合は、裁判所での手続きが発生するほか、遺留分の計算について法律に基づいて説明しなければなりません。適切な対応をするためにも、弁護士のサポートを受けるようにしましょう。

4、遺留分侵害額請求をする際の注意点

遺留分侵害額請求を行うためには、誰にいくら請求するのか、正確に把握しなければなりません。このほかにも注意点があるため、確認しましょう。

  1. (1)遺留分侵害額請求権には期限がある

    遺留分侵害額請求権は、以下のいずれかの期間が経過すると時効によって消滅します(民法第1048条)。

    • ① 相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年
    • ② 相続開始の時から10年

    知ってから1年と時効期間が短くなっているため、注意が必要です。

    遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)には1年または10年の期間制限あり

    なお、遺留分侵害額請求権を行使する旨の内容証明郵便を送付することによって1048条の時効の完成を阻止できます。ご自身の遺留分が侵害されていると思われた場合には、早い段階で弁護士に相談しましょう。

  2. (2)遺留分侵害額請求をする相手の負担額には上限がある

    遺留分侵害額請求における負担者の負担額には、上限があります。負担する額は、被相続人から得た利益(遺贈または贈与)の範囲内です。つまり、負担者が受け取った価値以上の金銭を請求することはできません

    負担額の上限の計算にあたっては、以下についても確認をしましょう。

    • 贈与については、遺留分の基礎となる財産の価額に算入されるものに限ります。
    • 受遺者または受贈者の行為によって、その目的である財産が滅失したり、その価格が増減したりしたときでも、相続開始の時(=被相続人が亡くなったとき)においてなお現状のままであるものとみなして、贈与の価額を定めます。
      (例)被相続人から贈与時の価値が300万円の株式を受け取っていた場合、相続開始時に200万円まで価値が下がっていても、贈与の価額は原則として贈与時の価値である300万円と定められます。
    • 条件付きの権利または存続期間の不確定な権利は、当事者間で合意できない場合には、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定めることがあります。
      (例)被相続人が保険会社の保険商品として、死亡するまで受け取れる年金(終身年金)を受け取っていたとします。終身年金は、受給者が生存している限り毎月一定額が支払われる契約であるため、受給期間が確定していません。このようなケースでは、鑑定人が平均余命や利率などを考慮し、「将来受け取れると見込まれる金額の現在価値」を算定し、その結果をもとに遺産の評価額に組み入れることになります。
    • 負担付遺贈または負担付贈与の場合は、その負担の額を遺贈または贈与の額から控除します。
      (例)被相続人から500万円の贈与を受ける際、「被相続人が亡くなるまで介護する」といった条件があった場合、介護の負担に金銭的価値があると評価されることがあります。たとえば、介護の負担に100万円の金銭的価値があると評価されると、贈与額は500万円から100万円を控除した400万円となります。
    • 不相当な対価をもってした有償行為(売買など)は、被相続人とその相手方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものに限り、贈与に該当するとして遺留分算定の対象となります。

5、遺留分侵害額請求など、相続のトラブルは弁護士に相談を

遺留分侵害額請求などの相続トラブルは、家族間の深刻な争いにつながるケースがよくあります。スムーズにトラブルを解決するためには、弁護士のサポートを受けましょう

相続トラブルについて弁護士に相談することには、主に以下のメリットがあります。

  • 遺留分侵害があったか判断する、遺留分侵害額を正確に計算するなど、公平な相続を実現するためのサポートが可能
  • 代理人としてあなたの代わりに交渉をしてくれる
  • 相続人との交渉で合意ができて遺産分割協議書を作成する際に、適切な形で書面を用意できる
  • 調停や訴訟が必要になる場合には、難しい手続きの対応を一任できる
  • ストレスや労力が軽減される
など

遺留分侵害額請求を行う際は、相続人同士のぶつかり合いが起こることもあるでしょう。精神的な負担を軽減し、スムーズに相続を完了するためにも、早めに弁護士へご相談ください。

遺産相続のお悩みならベリーベストへ
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6、まとめ

生前贈与や遺言書によって他の相続人が優遇され、ご自身の遺留分が侵害されたことに納得できないなら、遺留分侵害額請求ができるかどうかを検討しましょう。

遺留分侵害額請求を行う際には、財産額や債務額の調査を行ったうえで、遺留分侵害額を正確に計算しなければなりません。経験豊かな弁護士のサポートを受けることが、公平な解決へとつながります。

ベリーベスト法律事務所は、遺留分侵害額請求などの相続トラブルに関するご相談を随時受け付けておりますので、ぜひお早めにご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒 106-0032 東京都港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話] 03-6234-1585
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※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。

URL
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※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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