遺産相続コラム

被相続人とは? 相続人との違いや相続順位・割合、遺産相続の流れ

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更新日:2025年11月27日 公開日:2025年11月27日

被相続人とは? 相続人との違いや相続順位・割合、遺産相続の流れ

被相続人とは、法律上「亡くなった人」を指す言葉です。そして、亡くなった人(被相続人)の財産や権利を受け継ぐ立場の人を「相続人」といいます。

相続手続きでは、この「被相続人」と「相続人」の関係性や相続順位によって、誰がどのくらいの財産を受け取れるのかが決まります。遺産分割の際に、相続人同士でもめることも少なくありませんので、相続に関する基礎知識を身につけておくことが大切です。

今回は、被相続人や相続順位など、相続に関する基礎知識から、遺産相続を弁護士に相談するメリットなどについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が詳しく解説します。

1、被相続人とは|相続の基礎知識

遺産相続の手続きにおいて、「被相続人」という用語は必ず登場します。そのため、どのような人を指すのかをしっかりと理解しておきましょう。

以下では、相続の基礎知識として「被相続人」の概要を説明します。

  1. (1)被相続人とは誰を指すのか

    「被相続人(ひそうぞくにん)」とは、遺産相続における法律用語で「亡くなった人」を指す言葉です。

    一般的に、亡くなった人は「故人」などと表現されることがありますが、相続手続きの場面では、「被相続人」という用語を使います。

    たとえば、ご自身の父親が亡くなった場合、父親が「被相続人」となります。

  2. (2)相続人とは誰を指すのか

    「相続人(そうぞくにん)」とは、被相続人の財産を引き継ぐ立場の人を指します。

    一般的には、被相続人の配偶者(夫もしくは妻)や子、親、兄弟姉妹などが相続人になります。

  3. (3)法定相続人、相続権がない人、推定相続人との違い

    被相続人と相続人以外にも、遺産相続の手続きでは、「法定相続人」「相続権がない人」「推定相続人」といった用語が登場します。

    混同しやすい用語ですので、それぞれの違いをしっかりと押さえておきましょう。

    ① 法定相続人
    「法定相続人」とは、民法によって定められた、相続できる権利がある人を指す言葉です。

    被相続人の配偶者(夫もしくは妻)や子(直系卑属)、親(直系尊属)、兄弟姉妹など、以下の範囲の方が相続人に該当します。

    法定相続人1
    法定相続人2

    法定相続人は、相続の権利を有する人を指すのに対して、相続人は、実際に遺産を相続する人のことを指します。たとえば、相続放棄をした人(=財産を一切相続しない人)がいる場合、相続放棄をした人は「法定相続人」ではありますが「相続人」ではありません。

    ② 相続権がない人
    「相続権がない人」とは、民法で定められた法定相続人に該当しない人や、相続権を失った人などを指す言葉です。

    たとえば、内縁関係のパートナーや離婚した元配偶者、相続放棄をした人、相続欠格事由のある人などが該当します。相続欠格とは、被相続人を殺害しようとした、遺言書を偽造したなど、民法で定められた欠格事由に該当する人のことで、相続欠格事由に該当する場合、相続に関する権利をすべて失います。

    ③ 推定相続人
    推定相続人とは、被相続人となる立場の人がまだ生きている段階で、将来的に相続人になると考えられる人です。

    あくまでもその時点で相続が発生したと仮定した場合の「推定」ですので、その後の状況によっては変動することもあります。

    たとえば、夫A、妻B、子Cがいる場合、Aさんが亡くなった時の推定相続人は、BさんとCさんですが、病気や事故など何らかの事情で、BさんやCさんが先に亡くなってしまう可能性もあります。
    その場合の相続人は、BさんとCさんではなくなってしまいますので、「推定相続人」はあくまで「将来的に相続人になると考えられる人」となるわけです。

2、被相続人との関係性によって変わる! 相続順位・相続割合とは

遺産相続では、「被相続人」「相続人」の用語だけではなく、相続順位と割合の理解も重要です。

誰がどのような割合で遺産を相続するのかは、遺産分割の基本ですので、重要なポイントとして把握しておきましょう。

  1. (1)法定相続人には遺産相続の優先順位がある

    法定相続人には、被相続人との関係性に応じて「相続の優先順位(相続順位)」が定められています。

    順位が高い相続人がいる場合、下位の人は原則として相続権がありません。

    【相続の優先順位(相続順位)】
    • 第1順位:子(子が死亡している場合は孫)
    • 第2順位:親(親が死亡している場合は祖父母)
    • 第3順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹が死亡している場合は甥や姪)

    なお、配偶者には、相続順位はなく常に相続人になります

  2. (2)各相続人の相続割合

    相続割合は、被相続人に配偶者がいるかどうかによって大きく異なります。

    以下では、配偶者がいる場合といない場合の2つに分けて相続割合を説明します。

    ① 配偶者がいる場合の相続割合
    被相続人に「配偶者」がいる場合、配偶者は常に相続人となります。そして、配偶者とともに相続する相手(子・親・兄弟姉妹)によって相続割合が変わります。

    【ケース1】配偶者と子(直系卑属)が相続する場合
    配偶者:1/2
    子(子が死亡している場合には孫):1/2を子の人数で等分
    子が複数いる場合は、子の人数で1/2の持ち分を均等に分けます。

    配偶者と子(直系卑属)が相続する場合の相続割合
    【ケース2】配偶者と親(直系尊属)が相続する場合
    配偶者:2/3
    親(親が死亡している場合には祖父母):1/3を人数で等分
    父母が双方健在である場合は、1/3を2人で分けるため、父が1/6、母が1/6の相続割合になります。

    配偶者と親(直系尊属)が相続する場合の相続割合
    【ケース3】配偶者と兄弟姉妹が相続する場合
    配偶者:3/4
    兄弟姉妹:1/4を人数で等分

    兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合、兄弟姉妹の子(甥・姪)が代襲相続します。代襲相続とは相続権を失った相続人に代わって、その子が相続人になることです。

    配偶者と兄弟姉妹が相続する場合の相続割合

    ② 配偶者がいない場合の相続割合
    配偶者がいない場合、相続順位に従って、優先権のある相続人がすべての遺産を相続します。
    その際、同順位の相続人が複数人いる場合には、人数に応じて均等割となります。

    より詳細な相続割合を知りたい方は、ベリーベスト法律事務所の「法定相続分計算ツール」をご活用ください。

  3. (3)遺産相続における注意点

    遺産相続においては、以下の点に注意が必要です。

    ① 相続順位の影響|上位者がいれば下位者は相続できない
    すでに説明したとおり、遺産相続には、民法で定められた法定相続人の順位が存在します。
    順位の高い法定相続人が1人でもいる場合、下位順位の相続人には相続権がありませんので、遺産を相続することはできません。

    たとえば、被相続人に子がいる場合、その下の順位である親や兄弟姉妹には一切の相続権が認められません。

    ② 特別受益|生前にもらった分が相続に影響する場合
    「特別受益」とは、被相続人が亡くなる前に、相続人の1人に対して特別な支援や財産の贈与を行っていた場合、それをすでに遺産の一部をもらっていたとみなして、相続分から差し引く制度です。

    【特別受益の一例】
    • 自宅を購入する際に、被相続人から頭金を援助してもらった
    • 結婚費用や留学費用などを特別に支援してもらった
    • 生前贈与として多額の金銭や不動産を受け取っていた
    など

    このような事情がある場合には、特別受益を主張することで特別受益を受けていない相続人の取り分を増やせる可能性があります。

    特別受益を受けていない相続人が自ら主張しなければ法定相続分どおりの遺産分割になってしまいますので、このようなルールがあることを覚えておきましょう。

3、基本的な遺産相続の流れ・手順

遺産相続にはさまざまな手続きがありますが、基本的には以下のような流れに沿って進めます。

  1. (1)被相続人の戸籍を調査して法定相続人を確認する

    被相続人が亡くなると相続が開始しますが、まずは誰が相続人になるかを確定しなければなりません。これを「相続人調査」といいます。

    相続人に漏れがあると、遺産分割協議(=相続人全員で遺産の分け方を話し合い、合意する手続き)が無効になってしまいますので、正確な相続人調査が求められます。

  2. (2)遺言書の有無を確認する

    被相続人の遺言書がある場合、原則として、遺言書の内容に従って遺産を分けることになります。そのため、遺産分割をする前提として遺言書の有無を確認しなければなりません。

    遺言書は、その種類に応じて保管方法が異なりますので、以下を参考に遺言書を探してみるとよいでしょう。

    【遺言書の種類】
    • 自筆証書遺言:遺言者が手書きで全文、日付、氏名を記入し、押印する遺言書のこと。自宅もしくは法務局に保管されています。
    • 公正証書遺言:公証役場で公証人が作成する遺言書のこと。公証役場に保管されています。

    なお、自宅で保管する自筆証書が見つかったときは、遺言書を開封する前に裁判所に検認の申し立てをしなければなりません。

  3. (3)相続財産を調査する

    遺産分割をするためには、被相続人がどのような財産を有していたのかを把握しなければなりません。現金・預貯金・不動産・株式などのプラスの財産だけではなく、借金などのマイナスの財産も遺産相続の対象になりますので、すべての財産を正確に把握することが大切です。
    特に、借金の有無・金額は、相続放棄をするかどうかの判断をする上で重要な要素となります。

  4. (4)相続方法(単純承認・限定承認・相続放棄)を選択する

    遺産相続の方法には、主に以下の3種類があります。

    【遺産相続の方法】
    • 単純承認:すべての権利義務をそのまま引き継ぐ。
    • 限定承認:プラスの財産の範囲で負債を引き継ぐ。
    • 相続放棄:相続に関する一切の権利義務を相続しない。

    このうち、限定承認と相続放棄は、原則として相続開始を知ったときから3か月以内に裁判所に申述の手続きをしなければなりません。期限経過後では限定承認や相続放棄はできませんので、相続開始を知ったときは、早めに手続きを進めていくようにしましょう。

  5. (5)遺産分割協議

    遺言書がなく、相続人調査および相続財産調査を終えて遺産を相続すると決断したときは、相続人全員で遺産の分け方を話し合っていきます。これを「遺産分割協議」といいます。

    遺産分割協議がまとまったときは、遺産分割協議書を作成し、すべての相続人が署名と実印での押印をして遺産分割協議は終了となります。

    他方、遺産分割協議がまとまらないときは、家庭裁判所の遺産分割調停または遺産分割審判という手続きを利用して、合意・解決を目指します。

  6. (6)相続税の申告と納付

    遺産の総額が、基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合には、相続税の申告と納付が必要になります。

    相続税の申告・納付期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内とされていますので、期限を徒過しないように注意が必要です。

  7. (7)名義変更などの手続き

    遺産分割協議でまとまった内容に従って、名義変更などの手続きを進めていきます。

    【名義変更(一例)】
    • 不動産:相続登記(法務局)
    • 預貯金:金融機関での解約・名義変更
    • 株式:証券会社での移管手続き
    • :運輸支局での名義変更

    なお、不動産の相続登記は、令和6年4月から義務化されており、相続登記を怠ると10万円以下の過料の対象になりますので注意が必要です。

    参考:相続登記申請が義務化されました

4、被相続人の希望を遺産分割に反映させるには

被相続人となる方が遺産の分け方についてご自身の希望を確実に反映させるためには、以下のような方法があります。

  1. (1)法的に有効な遺言書を作成しておく

    遺言書は、被相続人が自分の希望に沿った遺産分割を実現できるもっとも基本的かつ直接的な手段です。法的に有効な遺言書を作成しておくことで、遺言書の内容通りの遺産分割を実現しやすくなり、相続人同士のトラブルの予防にもつながります。

    ただし、遺言書には厳格な要式が定められていますので、知識や経験がなければちょっとしたミスで遺言書全体が無効になってしまうリスクがあります。

    そのため、遺言書を作成する際は、専門家である司法書士や行政書士、弁護士などのサポートを得るのがおすすめです。

    参考:遺言

  2. (2)家族信託を活用する

    「家族信託」とは、被相続人が元気なうちに、家族に財産管理を任せる仕組みです。

    具体的には、委託者(財産を託す人)が受託者(財産を管理する人)に財産を託し、あらかじめ定めた目的に従って管理・運用してもらうことができる制度になります。

    認知症などで判断能力がなくなった後の財産管理にも対応できるため、将来の認知症対策としても利用される制度です。

    参考:家族信託

  3. (3)生前贈与をする

    「生前贈与」とは、あらかじめ財産の一部を子や孫などに贈与しておく方法です。生前に、財産を渡したい相手が明確になっている場合に有効な手段といえます。

    もっとも、生前贈与により渡した財産には、贈与した金額に応じて贈与税が課税される点に注意が必要です。ただし、年間110万円までであれば贈与税は非課税ですので、毎年少しずつ贈与すれば税負担なく財産を移すことができます。

  4. (4)相続廃除をする

    「相続廃除」とは、被相続人に対して著しい非行があった推定相続人(たとえば虐待・重大な侮辱・著しい扶養義務違反など)を、家庭裁判所の判断で相続人から外す手続きです。

    遺産を相続させたくない推定相続人がいる場合には、相続廃除の手続きを検討してみてもよいでしょう。

  5. (5)生命保険を活用する

    死亡保険金は、民法上の相続財産とは別扱いで、受取人固有の財産となります。

    そのため、他の相続人との争いに巻き込まれずに、確実に渡したい人へ財産を届ける手段として活用されています。

5、まとめ

被相続人は、「亡くなった人」を指す法律用語であり、その方の財産や義務は相続人に引き継がれます。相続では、誰が相続するのか(相続人)や、どのように財産を分けるのか(相続分)を正確に把握することがとても重要です。

相続手続きは期限や複雑な判断を伴う場面もあるため、少しでも不安がある場合や、相続人間でトラブルが発生した場合は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所には、相続問題を専門的に扱うチームがあり、豊富な経験と知識を生かして対応いたします。また、グループ内の税理士と連携しながら、相続税や申告手続きについてもサポート可能です。ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒 106-0032 東京都港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話] 03-6234-1585
[ご相談窓口] 0120-152-063

※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。

URL
https://www.vbest.jp

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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