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遺産相続コラム

実家を売却して遺産分割したい! 換価分割の進め方や注意すべき点とは?

2020年03月24日
  • 遺産分割協議
  • 換価分割

実家を売却して遺産分割したい! 換価分割の進め方や注意すべき点とは?

遠方の田舎などにある実家を相続すると、所有し続けるのが負担になるケースが多々あります。そんなとき、実家を売却して相続人間で売却金を分ける方法があります。このように現物の財産を売却してお金で分ける遺産分割の方法を「換価分割(かんかぶんかつ)」といいます。
このコラムでは換価分割の流れや換価分割が適しているケース、注意点などについて弁護士が解説します。

1、換価分割とは

  1. (1)換価分割は遺産分割方法の1種

    換価分割(かんかぶんかつ)とは、現物の相続財産を売却し、売却金を法定相続人間で分配する遺産分割の方法です。
    分配割合は通常「法定相続分」に一致させます。たとえば子ども3人が相続人となっているケースにおいて不動産が3000万円で売れて300万円の経費がかかったとしましょう。
    手元に入ってくる金額は2700万円なので、それを3等分して子どもたちがそれぞれ900万円ずつ受け取るのが換価分割です。

  2. (2)代償分割との違い

    遺産分割で換価分割以外によく利用される方法として「代償分割(だいしょうぶんかつ)」があります。代償分割は相続人のうち誰か1人が財産を受け取り、他の相続人へ「代償金」を支払って清算する方法です。換価分割のように財産を売却することはありません。
    たとえば子ども3人が3000万円の不動産を相続し代償分割するときには、長男が不動産を相続して次男と3男に1000万円ずつ支払って清算を行います。

  3. (3)その他の遺産分割方法「現物分割」

    遺産分割の方法として「現物分割」もあります。これは遺産をそのままの形で相続する方法です。土地なら分筆して現物分割することもできます。
    たとえば3000万円の土地建物を長男が一人で相続するのが現物分割です。土地を3つに分筆して3人の相続人がそれぞれ1筆ずつ取得することもできます。

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2、換価分割を選択すべきケース

以下のようなケースでは換価分割が適しています。

  1. (1)誰も現物の財産取得を望まない

    相続人のうち、誰も現物の対象財産の取得を望まないなら換価分割を検討すべきでしょう。物件を売却したら誰もその財産を取得しなくて良いからです。たとえば田舎に実家が残されており、誰も所有したいと考えていない場合などには、売却して現金で分けるのが良いでしょう。

  2. (2)公平に財産を分けたい

    財産を公平に分けたいケースでも換価分割がおすすめです。
    土地の現物分割の場合、分筆しても必ずしも価値が等分になるとは限りません。

    また、代償分割の場合には、ひとりしか対象財産を受け取れないので、複数人が対象財産を取得したいと考えている場合には不公平になります。また、「不動産の評価方法」によって相続人間で不公平感が生じる可能性があります。不動産の価値にはさまざまな評価方法があり、実勢価格も一律には決まらないからです。遺産分割後に大きく値上がりしたり値下がりしたりして不公平感が生じる可能性もあります。
    換価分割なら、こういった不公平感が一切なく「完全に公平」に分割できるといえるでしょう。

  3. (3)代償金を支払う資力がない

    代償分割するためには財産を取得する相続人が他の相続人へ「代償金」を支払わねばなりません。しかし、不動産取得の代償金額は高額になるケースも多く、支払いができないケースもあるでしょう。
    相続人に代償金を支払う資力がないときには換価分割を検討すべきです。換価分割なら、誰にも資力がなくても対応できます。

  4. (4)維持管理をしたくない

    田舎の物件を相続した場合などには、維持管理が大変です。特に相続人が全員遠方に居住している場合などには管理しに行くのも手間ですし、管理会社に委託したら余計な費用がかかります。加えて毎年の固定資産税も発生します。
    そうした維持管理やコスト的な負担をしたくない場合、換価分割がおすすめです。売却してしまえば一切の維持管理が不要ですし、固定資産税も払わずに済みます。

  5. (5)相続税の納税資金にしたい

    遺産の価額が相続税の基礎控除を超える場合、相続税を払わねばなりません。相続税は現金で払わなければならないので、相続財産に現預金が少ないような場合、支払いが困難となってしまう可能性があります。
    そういった場合、換価分割であれば不動産の売却金を相続税の支払いに充てることが可能です。相続税を支払うことができないなら換価分割を選択し、相続税の納税資金にするのが良いでしょう。

3、換価分割を行う場合の注意点

換価分割をするときには、いくつか注意点があります。

  1. (1)遺産分割協議書に明記する必要がある

    換価分割するときには不動産の名義人をいったん相続人に移し、そこから売却先へと所有名義を移転させる必要があります。いきなり被相続人から買い受け人へ名義変更することはできません。
    そこで換価分割のために「不動産の名義変更登記(相続登記)」をしなければなりません。

  2. (2)代表者一人が売却手続きを行うケースと贈与税

    換価分割の準備として不動産の登記名義を相続人に移すとき、共同相続人全員の名義にすることも可能ですが、代表者一人の名義にすることもできます。代表者一人にしておけば、不動産売買契約書の調印などの手続きを代表者単独でできるので簡便です。

    ただしこの場合、きちんと遺産分割協議書に「換価分割を行う前提でいったん代表者一人の名義にする」ことを明記しなければなりません。そうしないと、代表者に「贈与税」がかかってしまう可能性があります。

  3. (3)譲渡所得税がかかる場合がある

    不動産の換価分割を行う場合、通常の相続事案で発生する相続税に加えて「譲渡所得税」が発生する可能性もあるので注意が必要です。

    譲渡所得税とは、不動産を売却することによって得られる「利益」に課される税金です。
    不動産の売却金額から不動産を取得したときの金額と経費(不動産取得費)、不動産を売却したときにかかった経費を引いて、残った額が「譲渡所得」です。その譲渡所得の金額に応じて税率をかけ算し、税金がかかります。

    ただし自宅を売却したときの譲渡所得税には控除特例が設けられており、3000万円までの譲渡所得に対する税金が控除されます。
    相続した空き家の場合には、相続開始後3年目の12月31日までに売却すれば3000万円までの譲渡所得に対する税金がかかりません。
    よって田舎の空き家などを相続した場合には、早めに売却するのが賢明です。

    なお、相続税の納付期限後3年以内に物件を売却したケースでは、譲渡所得の計算の際に支払い済みの相続税額を加算できます。つまり、相続税を支払った分、譲渡所得税を減額できるということです。

    換価分割の際、相続税や譲渡所得税などの税金関係で有利に計算してもらうには専門の税理士に相談・依頼する方が良いでしょう。ベリーベストグループには相続関係に詳しい税理士も在籍しているので、ぜひご相談ください。

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4、実家を換価分割するときの進め方と留意すべき点

  1. (1)換価分割の流れ

    田舎の実家を換価分割の方法で遺産分割するときには、以下のような流れとなります。

    ●遺産分割協議を行い相続人全員で合意する
    換価分割を行うときには、まずは相続人全員が合意する必要があります。遺産分割協議を行い、相続人が全員納得した上で、「不動産を売って分配する」ことを決定しましょう。

    ●遺産分割協議書を作成する
    遺産分割協議が調ったら、必ず遺産分割協議書を作成する必要があります。遺産分割協議書がないと相続登記ができず、換価分割を進められません。また、遺産分割協議書には先ほどご説明した通り、「換価分割すること」を記載する必要があります。遺産分割協議書への押印は実印が必要です。印鑑登録証明書も必要になります。

    ●相続登記を行う
    遺産分割協議書を作成したら、法務局に申請して相続登記を行います。

    ●売却活動を進める
    不動産を売るためには通常、不動産仲介業者に依頼して売却活動を進めてもらう必要があります。複数社から不動産の査定をとって適切な業者と媒介契約を締結し、買主を探してもらいましょう。なお、不動産仲介会社を介さず買主と個人間で取引することも可能ですが、トラブルのリスクが高まるので基本的にはおすすめしません。

    ●売却する
    買い主が見つかったら売買契約を締結し、物件を売却します。決済が行われたら通常は代表者の口座宛てに売買代金が入金されます。

    ●清算して売却金を分配する
    売却金から不動産業者の仲介手数料等の諸経費を差し引き、残った金額を相続人間で分配します。分配割合は法定相続分に従います。遺産分割協議にて法定相続分と異なる割合を決めた場合には、その割合になります。

  2. (2)換価分割の注意点

    換価分割をするときには、以下のような点に注意が必要です。

    ●諸費用が発生する
    換価分割するときに不動産を売却すると、不動産業者の仲介手数料や測量費用等の諸費用が発生するケースが多数です。売却代金がそのまま手元に入ってくるわけではないので、査定額よりも目減りしてしまう可能性もあります。

    ●不動産が売却できない可能性もある
    不動産によってはなかなか売却できないケースもあります。売却できない場合であっても相続開始後10か月以内に相続税は支払わなければなりません。

    ●早期に売らないと譲渡所得税が発生する
    空き家を相続した場合、3年後の12月31日までに売却したら3000万円までの譲渡所得税の控除を受けられます。しかし、その期限を過ぎると通常通り譲渡所得税がかかってしまうので、間に合うように早めに売却を済ませる必要があります。

    ●売却を急いで損をすることも
    ただし、不動産を売るときには、早ければ良いというものでもありません。売り急ぐと買いたたかれて損をしてしまう可能性があるからです。また、売却後、大きく値上がりして悔しい思いをするケースもあります。不動産を売却するときには「売り時(タイミング)」や「価格交渉」も重要となってきます。

5、まとめ

遺産相続において換価分割を進めるには、税務や法律の専門知識が必要です。
まずは遺産分割協議書を正しく作成し、相続税や譲渡所得税などの税金周りの知識をもって手続きを進めていくべきです。

ベリーベストグループには弁護士も税理士も在籍しており、相続に関わる手続きやご相談をワンストップでお受けすることができます。換価分割に関心をお持ちの方、遺産分割協議書の作成や相続税対策で相談先を探されているようでしたら、どうぞお気軽にご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒 106-0032 東京都港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話] 03-6234-1585
[ご相談窓口] 0120-152-063

※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。

URL
https://www.vbest.jp

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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